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Ep65 大渦戦線

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2024年03月09日

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 僕たちが辿り着くと、自由の国の孤島は既に無くなっていた

「みんな……死んじゃったのか……?」

「ヤマトさん〜!!」

 すると、上空から女性の声が聞こえた。

 声の方を見遣ると

「えぇ!? 全員浮いてる!?」

 国王キングや、自由の国に住んでいる、おそらく全員が足場のない空に浮かんでいた。

「どどど、どんな魔法ですか!? これ!?」

 僕の問い掛けに、守護神ロロさんが答える。

「私の電波魔法を軸に、ララちゃんリリちゃんルルちゃんレレちゃんと、アイドル隊みんなの魔力を掛け合わせて、電子的な足場を作ったんです〜!!」

「流石はロロだ! ハッハッハ!」

 そして、王国どころか、島ごと全て消滅していると言うのに、国王キングは高笑いを浮かべていた。

「お前はあの時の旅人か? 少し雰囲気が変わったか? まあいい、また助けろ! ハッハッハ!」

「キング様……どうして、島がやられているのに、そんなに余裕そうなんですか……?」

「確かに、城や街が消えてしまったのは惜しいが、民がいるのなら国はまた再興できるだろう! 島がいきなり消滅したと言うのに、人命が無事なら満足だ!」

 清々しく言い切るが、実際その通りかも知れない。

 この国には特殊に鍛え上げられた兵士もいなければ、守護神のロロさんですら戦闘向きではない。

 そんな中で、海の水害と化した水の神ラーチの突然の島破壊に、住民の命を守れたのは大きい。

「して旅人よ、先日の龍撃戦のように、いい策はないものか!」

 相手は水……どころか、海そのものだ。

雷魔法で感電させ、炎魔法で蒸発、姿が見えたところで、更に追い討ちの炎魔法の蒸発が出来たらベストなんだけど……」

 以前のキングの炎パンチは、蒸発に値するレベルだ。

 しかし、ロロさんの雷魔法じゃ……。

 追い討ちの炎要因はいないが、最悪、あの威力の蒸発をしてくれるなら僕の力でなんとか出来るか……?

「おお! お前はいつも頼りになるな!」

 すると、国王キングは途端に弾んだ声を上げた。

「なんで……!!」

 そこに居たのは、ドレイクだった。

「カエンさんに記憶を消されて、雷龍の加護も取り除かれて、ガンマに吸収されていたはずじゃ……」

「ふん、記憶は消されていません。消される前にガンマさんに吸収されていましたからね。それに、私は元より “自由の国の博士長” であることは真実です」

「え、でも幻影が解かれた後、他の人の名前が……」

あの名前こそが幻影……本来、この国と楽園の国の間にある小さな村を使って研究をしてきたのは私です」

 博士長に化けて自由の国に忍び込んでいたわけじゃなかったのか……!?

「ガンマさんには本当に狂わされます……。研究の為に龍族の一味に加担したと言うのに、今度は自由の国を守って来いと飛ばすのですから……」

「飛ばす……?」

 すると、背後から勢い良く大きな影が現れた。

「ガンマ!!」

 大きな巨体で羽ばたいていた黒い龍、ガンマだった。

「この国にはかなり迷惑を掛けたからな……。バベルが救うと言うのなら、今度はしっかり守ってみせる」

 そう言うと、住民たちを暗黒の闇に飲み込んだ。

「それでは、早く次の研究に向かいたいので、ヤマトさん、早くこの国を救ってしまいましょう」

 そして、何食わぬ顔で飛び降りた。

「ちょっと……作戦は!?」

「博士長の頭脳、今度は失敗などしません……!」

 すると、水面からズボボボボッと、またしても大きな影が現れた。

「あ! あの時の!!」

「雷龍サンダース……!? ずっとこの海にいてくれていたのか!?」

「操られていたとは言え……俺はこの国にかなりの厄災をもたらしてしまった……。贖罪をせねばなるまい……」

「さあ、雷龍! 今度こそちゃんと力を貸しなさい!」

 サンダースは、大きな口を開けて雷撃を放つ。

 そして、それをモロに全身に浴びるドレイク。

「そんな……自分自ら……!」

「こうでもしなきゃ、こんなバカデカい海を感電させることなんて出来ません!! さあ、炎を……!!」

 そして、再び人間の皮が破け、全身に膨大な雷を蓄電させた鋼鉄の身体と化したドレイクは、そのまま大荒れた海の中に沈んで行った。

 暫くすると、ズババババッ!と、大きな音を立て、辺り一面が雷の光に輝いた。

 あんな鋼鉄の身体で海に飛び込んだら……もう出て来られないのに……ドレイク……。

「キング様、失礼します……!!」

「お、おい……何をする……無礼者!!」

 再び、僕は国王キングを、海に向かって放り投げた。

「おわああああああああ!!!」

 しかし、やはりキングは気合が入っている。

 覚悟を決めたのか、海に向けて握り拳を構える。

「あの時と同じ容量だな……! この国を守る為……!」

 そして、思い切りキングは拳を水面に叩き付ける。

 ブオッ!と、大きく水中は割れ、シュー…と、煙が舞い上がっていた。

「す、凄いけど……やっぱりまだ……ラーチの姿が見えない……。炎魔法の追撃ができれば……」

「炎魔法がご入用ですか?」

 そして、僕の背後から、ガンマの吸収に自ら加わらなかった国唯一の兵士が声を上げた。

「あなたは……?」

「お力添え出来るほどの魔力かわかりませんが……一応この国の騎士団長を務めている、カザンと言います。炎魔法であれば、助力が出来るかと……」

 僕よりも若い見た目で、騎士団長と名乗る男。

 何はともあれ、何もないよりは少しはマシだ……。

「お願いできますか……!」

「はい……! 炎魔法 エンザン!!」

 そして、綺麗な片手剣からは炎の刃が飛び出した。

 しかし……やはり火力が……。

 ここに来て、別の国の騎士たちとの差が出る……。

「風龍魔法 イートフライ 放出!!」

 突如、後方から魔法が放たれ、騎士団長カザンの放った炎魔法を更に膨張させ、勢いを増させた。

 風龍魔法を使える男は一人しかいない……!

「フーリン!!」

「ハァハァ……。僕が……遅れを取るわけないだろ! リューダともこの通り仲良しだからな!」

「本当に……兄貴なのか……?」

「あぁ、そうだよ。カザン」

 そして、勢いを増した炎の刃は、ラーチの姿をハッキリと海面に映し出した。

「光神魔法 エイレス!」

 そのまま、ラーチを包む大渦の結界を解き、雷龍サンダースも国王キングを救出させていた。

「兄貴……今までどこに……」

「この通りだよ。僕は力を手にした。大悪党になってね」

「いや……俺だけの魔力では……あんな火力は出せなかった……この国の救世主は、兄貴だよ」

 しかし、フーリンは何も答えず飛んで行ってしまった。

 探してみたが、やはりドレイクの姿はない。

 この広大な海の中に、沈んで行ってしまったんだ。

 ――

 立派な医師になる為には、人死など気にするな。

 それが父の教えだった。

「そんな……人が死んじゃうなんて嫌です! 私は、人を死なせない医者になりたい!」

馬鹿者! 人の死があり、失敗があり、初めて人と言うものは助けることが出来るんだ! 甘えるな!」

 違う……そんなことはさせない。

 しかし、研究すればするほど、人は死んでしまう。

 何かを犠牲にしなければならない……。

 父のようにはなりたくない。

 もっと、犠牲を少なく、失敗はしない。

 完璧に……。

 もっとだ……犠牲は……一人でも少なく……。

 いきなり現れたこの小娘は……?

「あの娘は、記憶を失ってはいるが、四方守神と言うバベルの特別な魔法を使う娘だ。殺すなら今だぞ」

 殺す……?

 父のようにならない為に、私は龍族の一味に入った。

 この娘がいずれ厄災となるのなら、洗脳しよう。

 そうすれば、殺さずに済む……。

 セーカ、生きててくれて、よかった……。

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