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1936年、イタリア・エチオピア国境
ドンッ!ドンッドンッ!
鈍い銃声が独立を脅かす。
イタリア・ソマリランド総督府会議場
グラツィアーニ「兵力は?」
将校A「現在本土から送られてきた6師団、ソマリランドに駐留する4師団となっています。」
傭兵B「また、我々傭兵隊も3師団ほどの戦力が残っています。」
グラツィアーニ「ふむ、これぐらいなら何とかだな。装備状況は?」
将校A「えーと…その…」
傭兵B「歯切れが悪いぞ、何が言いたい。」
グラツィアーニ「…ドゥーチェもまたエチオピアを舐めている。それでいいか?」
将校A「…はい。」
グラツィアーニ「分かった。私が基本装備を揃えておく。それまで…3ヶ月だ。3ヶ月防衛しろ。」
傭兵B「3ヶ月、了解しました。」
将校A「し、しかし!」
グラツィアーニ「どうした?なにか…危ういことがあるのか?」
将校A「ドゥーチェは…3ヶ月での占領を求めています…」
グラツィアーニ「…は?」
ドドドドド!
機関銃の音が鳴る。
ザマヌエル「エチオピア軍よ!今こそイタリアをもう一度駆逐するときである!」
ヒンデンブルク壁を利用したエチオピア軍の防衛線は
迫りくるイタリア軍を次々に殺した。
しかし、イタリア軍も黙っては居ない。
装備が整った3月。
一斉攻勢が始まった。
これにはガスも使われ、次々に兵士に覆い被さった。
ドドド!ドンッ、ドンッ!
機関銃、小銃。
それらが砂漠の砂のように使われた。
ヒンデンブルク壁を利用した防衛戦は一ヶ月要したものの
イタリア軍の勝利に。次々に足を進めた。
アディスアベバ、陸軍省
ザマヌエル「クソっ!イタリア軍の攻勢が止まらん!」
兵士A「報告!イタリア軍があと数kmのところまで来てます!」
ザマヌエル「なんだと!?」
兵士A「このままでは皇帝陛下も、閣下も死んでしまいます!」
ザマヌエル「そんな事は私も知っている!クソっ!」
兵士A「…」
ザマヌエル「…最後の戦いだ。全兵力を用いてアディスアベバを使って防衛しろ!」
アディスアベバは炎に包まれた。
イタリア軍の毒ガス。エチオピア軍の銃声。
イタリア軍は緻密な抵抗にも屈せず、一軒一軒家を攻略していった。
そして…アディスアベバの最後の戦いが起きた。
皇帝ハイレ・セラシエ一世の亡命までの防衛線であった。
仏領ジブチまでの撤退戦。
数百の皇帝親衛隊が皇帝に命を託し、イタリア兵に突撃し、
殺して、殺された。
皇帝はなんとか逃れ、ジブチからイギリスへと亡命した。
しかし…アディスアベバの陥落によって、エチオピア帝国は名だけになってしまった。
ムッソリーニは「東アフリカ」をこの地に作り上げ、
グラツィアーニはこの東アフリカ副王に任命された。
しかしグラツィアーニはそれと同時に本土に帰還していた為
元帥にも任命された。
国際連盟会議。
各国は、イタリアの東アフリカ征服を認めた。
ハイレ・セラシエ一世は「エチオピアの主権」ならびに「独立」を訴えたが
白人国家に通用するわけもなく。
エチオピア帝国は、暗闇へと消えたのであった。