テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
20
#学園
大正
5,306
ひろむとLINEを始めてから、少しずつ時間が経った。
毎日ではない。
でも、部活が終わったあとや、ふと思ったときにメッセージを送る。
そんな距離。
結にとっては、その時間がすごく嬉しかった。
ある日の放課後。
結と優里は教室で話していた。
優里「最近ひろむとのLINE続いてるんやろ?」
結「うん」
優里「どう?」
結は少し笑う。
結「楽しい」
優里「そっか」
少し間を置いて、優里が聞く。
優里「でもさ」
結「ん?」
優里「ひろむが好きな人いるって知ってる?」
その言葉で、結の表情が止まった。
結「……うん」
優里「そっか」
結「わかってる」
結は笑おうとした。
結「最初から知ってたし」
でも、少しだけ胸が痛んだ。
LINEで話せる。
優しくしてくれる。
でもそれは「好き」だからじゃない。
ひろむは優しい人だから。
その日の夜。
ひろむからLINEがきた。
📱ひろむ「今日部活どうやった?」
結は少し迷った。
でもいつも通り返す。
📱結「楽しかったです」
📱ひろむ「よかった」
「結ってダンス好きなんやな」
📱結「はい」
「踊ってるときが一番楽しいです」
📱ひろむ「いいな」
📱結「先輩は?」
📱ひろむ「バスケしてるときかな」
「あと」
📱「応援してくれる人がおるのも嬉しいよ」
結は画面を見つめた。
結「……」
📱ひろむ「どうした?」
📱結「いや」
「嬉しいなって思って」
📱ひろむ「なんで笑」
📱結「先輩ってちゃんと感謝する人なんだなって」
📱ひろむ「普通やろ笑」
📱結「普通じゃないですよ!」
ひろむは少し笑った。
次の日。
バスケの練習終わり。
1年生の後輩がひろむに話しかける。
後輩「ひろむくん」
ひろむ「ん?」
後輩「この前教えてくれたやつできました」
ひろむ「すごいやん」
後輩「先輩のおかげです」
ひろむ「いや、頑張ったのは自分やろ」
後輩は嬉しそうに笑った。
その様子を見ていた結……ではなく、
その話を優里から聞いた結。
優里「今日もひろむ後輩に優しく教えてたわ」
結「やっぱりすごいな」
優里「好きになるのもわかる」
結「……でも」
優里「ん?」
結「好きな人いるんだよね」
優里は何も言わなかった。
その日の夜。
ごうきとひろむが話していた。
📱ごうき「ひろむ」
📱ひろむ「ん?」
📱ごうき「最近結と話してるんやってな」
📱ひろむ「うん」
📱ごうき「楽しい?」
ひろむは少し考える。
📱ひろむ「楽しい」
ごうきは少し目を逸らした。
その答えが思ったより早く返ってきたから。
📱ごうき「そっか」
📱ひろむ「なんで?」
📱ごうき「いや、なんでもない」
その数日後。
結は少しだけLINEを送る頻度を減らした。
嫌われたくないから。
迷惑になりたくないから。
ひろむには好きな人がいる。
そう思うと、少し距離を置いた方がいい気がした。
でも――
ひろむは気づいた。
いつも来ていた「お疲れ様」がこない。
少しだけ違和感。
📱ひろむ「結」
📱結「はい?」
📱ひろむ「最近忙しい?」
結は驚いた。
📱結「え?なんでですか?」
📱ひろむ「いや、なんとなく」
結はスマホを見つめた。
自分が少し離れただけなのに、
気づいてくれた。
ひろむはまだ知らない。
その一言が、
結にとってどれだけ嬉しかったのか。
そして――
自分が結の変化を探していたことにも。
コメント
1件
いやあ、もう第8話、すごくよかったです…。結がひろむの優しさに触れながら、でも「好きな人がいる」っていう事実に胸を痛めて、少し距離を置こうとする気持ち、すごくわかります。その一方で、ひろむが「最近忙しい?」って気づいてくれたところ、あの一言が結にとってどれほど嬉しかったか、こっちまでじんわりしました。ひろむ自身も結の変化に気づいて探してたっていうラストの一文、すごく効いてますね。二人の距離感の描き方が繊細で、読んでて胸がきゅっとなりました。続きが気になります…!