※君の眼になりたいを見てない方はそちらを先に見るとより作品が楽しめます。
第1章〜目覚めろ謙也〜
唯華「謙也。どこにも行かないって、約束したじゃん。」
唯華「明けない夜は無かった。そうでしょ。目覚めて。おねがい。いつでも待ってるから」
泣き声が響き渡る。
謙也が運ばれていくつだったのだろう。もう数え切れないかな。ていうより数えてない。
私は笹峰唯華。視覚障害を持っていてそんな私は謙也に救われた。私の彼氏だ。こんな私を受け入れてくれた。しかし、いつの日か前。私は死のうと思い飛び降りようとした。そこに謙也がきて私はすこしの怪我ですんだ。でも、謙也は私の代わりに落ちてしまった。落ちて病院に運ばれ手術をしたけど回復の見込みがない。回復したとしても記憶に問題があるかもしれない。と医師から伝えられた。意識が戻らなければこのまま亡くなる。そんなの私は嫌だった。
謙也が目覚めたら。先ずは謝りたい。その後は、感謝を伝えたい。だから、起きて欲しい。
私は毎日のように謙也が眠っている病室に通った。聞いてくれるはずもないのに今日あった出来事を話した。
唯華「謙也。今日は謙也の好きなものが安く買えたの。目覚めたら食べようね。」
私はそう言ってお見舞物を置いてその場を後にした。
私は神頼みしかできなかった。何か出来ることがあるのか考えたけど。なかった。
医師から告げられたことは信じ難いものだった。
医師「笹峰さん。聞いてください。原西さんの回復はもうゼロに等しいと思います。彼にはドナーカードが書かれており、臓器提供の意思が書いてあります。このまま臓器を提供するのはどうでしょうか。」
実質医師からは諦めなさいって言われてるような気がした。私は負けたくなかった。
唯華「しません。回復することを信じます。諦めないので。」
医師「そうですか。わかりました。それでは、失礼します。」
臓器提供するということは謙也はもう生きれないってことになる。それは希望を捨てるのと一緒だったから私はしたくなかった。
唯華「謙也。これでいいんだよね。謙也なら大丈夫。絶対に回復するよ。」
私はそう自分に言い聞かせながら謙也に伝えた。
謙也は恐らく頭の中で葛藤しているのだろう。謙也が諦めてないのに私が諦める訳には行かない。
お見舞いを毎日通って数週間。私はいつものように謙也の右手を握りしめながら上を向いた。
雨の日も、強風の日でも、私は毎日欠かさずに謙也のお見舞いに行った。そして何度も手を握り信じた。上をむく。謙也に青空の良さを教えて欲しい。
綺麗な青空の下。人々はみんな空の下で生活している。
謙也を空の上に行かせる訳には行かなかった。
絶対空の下で一緒に暮らす。私はそう夢に見た。
すると僅かに謙也の右手が動いた。
私はすぐに気づいて謙也の方を向き、
謙也。謙也、、、?!って呼び掛けた。
謙也はゆっくりと目を開けると、しばらく私を見つめ、
謙也「誰ですか?」
と言った。私は泣きながらも。
唯華「唯華だよ。笹峰唯華。覚えてる?」
謙也「笹、峰、?分からない。オレは。誰。」
唯華「謙也。原西謙也。私の彼氏」
謙也「全く分からない。何が。」
謙也はやはり記憶がなかった。でも私は諦めなかった。
唯華「大丈夫だよ。私が今度は謙也の記憶を戻すから。」
謙也「そっか。おれ、が。謙也。」
すぐに医師が駆け寄り検査が始まった。
どうやら検査の結果記憶障害のようだ。
大半の記憶は忘れていて、取り戻すことはほぼ不可能。今までのような生活はできないと思う。って言われた。
唯華「今までの生活ができなくても、これから新しい見たことの無い生活を作ればいいんです。ありがとうございました。」
謙也は記憶障害だけでなく、体のリハビリも必要だった。
病院内にあるリハビリ施設で私は寄り添いながら謙也のリハビリに付き合った。
最初はぎこちなく、歩くことも出来ず車椅子が余儀なくされていた。
私は最低限できることをやろうと思い、見守ったり、リハビリの手伝いをした。
謙也「唯華さん。いつもありがとう。迷惑かけてごめんね。」
唯華さんって言われるのは最初はぎこちなかったが次第に慣れていった。
唯華「大丈夫だよ。体を上手く動かせれるように頑張ろうね。」
しかし私は目が見えないので車椅子は押せない。看護師に手伝ってもらいながら生活した
謙也が上手く動かせないのは
腕。手。足だ。
ご飯をまともに食べることも出来なければ歩くことも出来ない。私は介護につきそう日々だった。でも苦じゃない。自分が謙也の役に立ててると思うと嬉しかった。
かれこれリハビリを続けて少しずつではあるけど歩けるようになった。
でも車椅子はまだ外せない。
足が動けても手や腕が動きにくい。スプーンを使わせているがスプーンすら難しい。
唯華「今日は一旦帰るね!また明日来る。」
謙也「わかった。ありがとう。気をつけて。」
記憶がなくなっても優しい謙也だった。謙也は元々性格が良かった。私は知っている。
私が帰ったあとも謙也は1人でリハビリをしている。
スプーンをもってものを掬う。
しかし何度やっても思うように出来ない。
謙也は次第に苛立ちを感じ
謙也「クソがっ!」っと泣き叫んだ。
謙也「なんで。俺はこんなに不自由なんだ。俺は一体なんだ。唯華さんはなんで俺にこんなに。動けよ。思い通りに動けよ!俺の腕!」
そう泣きわめく。静かな病室の中謙也の泣き声が響く。病室には謙也しかいない。
謙也「記憶障害か何か知らないけど。前の記憶が分からない。自分は何をしていた。自分はなんだ。くそ!」
自暴自棄になり始める謙也。
でも私が行くといつもの優しいままだった。
無理をしていることに私は気づけなかった。
いつも通り謙也のリハビリに励んでいた。
微弱ながら謙也は1人で壁を使って歩けるようにはなってきた。
そんな夜の日に謙也の部屋をのぞいてベットに行き話しかけても返事がない。私はベットに手をあてると、謙也はそこにいなかった。私は慌てて看護師に伝え院内を探し始めた。
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