テラーノベル
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神代類
16歳中学生
司と学校が一緒で同じクラス。だけど全然喋らないというか喋れない
(司が人気過ぎて)
司の事を無意識に目で追ってしまう。
生き甲斐もなくふらふらと人生が過ぎていってる感じ。
天馬司
16歳中学生
類の事はクラスメイトの奴、位でしか思っていない。
自治会に入っていて皆んなの人気者。
行者は何事でも全力でタイプ。
蒸し暑い夏の夜だった。
ぬるい夜風が肌に纏わりつき、どこからか聞こえるお囃子の音が、祭りの始まりを告げていた。
神代類は、特にこれといった目的もなく、人混みを避けるように祭りの露店街を歩いていた。
普段なら人が集まる場所には立ち寄らない。けれど今夜、彼を外へと連れ出した唯一の理由は——「冷たいラムネ」だった。
……あった
色鮮やかな提灯の光が揺れる露店の隅で、氷水の中に浮かぶ瓶ラムネを見つける。
小銭を払い、冷えたガラス瓶を受け取ると、親指でプラスチックのキャップをぐっと押し込んだ。
ポンッ!
軽やかな音とともに、カラランと音を立ててガラス玉が瓶の底へ落ちていく。
しゅわしゅわと弾ける炭酸を喉に流し込むと、人工的なソーダの甘さと冷たさが、体内の熱をほんの少しだけ奪っていった。
「……ふぅ。……さて、帰ろうか」
お目当てのラムネを手に入れ、早々に引き返そうとしたその時だった。
――ドンッ、と。
腹の底から空気を揺らすような、低く重い振動が腹に響いた。
「……?」
引き止められるように足が止まる。
露店の賑やかさとは一線を画す、激しく、力強く、けれどどこか切ないほどにまっすぐな打楽器の音。
類は吸い寄せられるように、人人人の人垣をかき分け、境内の中心に組まれた大きな櫓へと向かっていた。
櫓の上では、数人の男たちが大きな和太鼓を叩いていた。
その中央に立っていた青年に、類の目は釘付けになった。
「――はぁっ!! 破ぁぁぁッ!!!」
威勢の良い掛け声とともに、太鼓バチを振り下ろす青年。
天馬司だった。
髪からは汗が飛び散り、夏の熱気の中で全身の筋肉を躍動させている。
叩くたびに響く重低音が、観客の心臓の鼓動と重なって、境内全体を支配していく。
あ……あの子は…
類は息を呑んだ。
司がまとっているのは、ただの「熱気」ではない。
『観客を笑顔にしたい』『この瞬間を楽しませたい』という、圧倒的で純粋な「表現者」としての圧倒的なオーラだった。
スポットライトのような提灯の光を浴びながら、汗水を垂らして必死にバチを振るうその姿は、類にとってどんな星よりも眩しく、神々しく映った。
なんだ……これは……っ
ドクン、と胸が跳ね上がった。
ラムネの冷たさなんて一瞬で吹き飛ぶほど、身体の奥底から熱いものが込み上げてくる。
過去に学校で「変人」と拒絶され、表現すること、世界と関わることを諦めかけていた類の胸に、司の太鼓の音がダイレクトに突き刺さった。
「すごい……すごいよ、司くん……!」
言葉が勝手に溢れ出た。
否定される恐怖も、周りの目も関係ない。
ただひたすらに、目の前の太陽のような表現者に、類は一目惚れしていた。
最後の「ドドンッ!」という盛大な一撃とともに、曲が終わった。
静寂の後、境内に爆発的な歓声と拍手が巻き起こる。
「ふぅぅぅーっ! ありがとう!! みんな、楽しんでいってくれよなー!!」
肩で息を荒げながら、最高に輝く笑顔で観客に手を振る司。
その姿を、類は人混みの後ろからじっと見つめていた。
司が櫓から降りてくる。
声をかけようかと一歩踏み出しかけた類だったが、ふと手に持っていたラムネの瓶を見つめ、足を止めた。
今の僕が……観客のひとりでしかない僕が、あの人の隣に立つ資格なんてあるのだろうか?
司は、全力で誰かを笑顔にするために表現している。
なら、自分はどうだ?
怯えて、逃げて、ただ殻に閉じこもっているだけでいいのだろうか。
「……ううん、ダメだ」
類は瓶の中のガラス玉を指でカチリと鳴らした。
冷たかった炭酸はすっかりぬるくなっていたけれど、心の中の炎は、今まで生きてきた中で一番熱く燃え上がっていた。
「……待っていてほしい、司くん」
類は遠くで仲間と笑い合う司の背中に向けて、そっと呟いた。
「来年……来年のこの場所で、僕もあそこに立つ。君と同じ場所で、君を驚かせるくらいの音を鳴らしてみせるよ」
「ただ見ているだけ」の自分には、もうさよならだ。
拒絶されるのが怖くて捨てかけていた「自分の表現」を、もう一度手にする時が来たのだから。
類は瓶に残った最後のラムネを飲み干すと、振り返ることもなく、力強い足取りで夜の街へと歩き出した。
首筋を撫でる夜風は、どこか涼しく、そして新しい始まりの匂いがしていた。
続く。
コメント
1件
ああ、もう、すごく良かったです…! 夏の夜のぬるい風とお囃子、そこにふと現れたラムネの瓶の冷たさが、類くんの孤独感を静かに浮かび上がらせていて。そこに突然、司くんの太鼓の音がドンッと心臓を揺らす切れ味、最高でした。「ただ見ているだけの自分」に別れを告げる類くんの決意のラスト、胸が熱くなりました。続きが待ち遠しいです🌷
まよ
#司類
ちょこぱるふぇ
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天希ちゃん(プロセカ民)
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