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『ずっと好きなのに、私じゃないんだね。』第12話「続き、教えてよ!」
*夜 22:17 病室*
消灯時間が近づいて、病室が静かになった。
私はベッドに横になりながら、スマホをぎゅっと握りしめていた。
……どうしよう。
気になる。
めっっっちゃ気になる!!
だって、及川さんが言ったんだよ!?
『俺、お前のこと……』
そこで岩泉さんたちが来ちゃったんだもん!!
そのあとも、及川さんは何も教えてくれなかった。
帰り際だって、
『今度こそ、ちゃんと話すから』
なんて言って、優しく笑うだけ。
「……いやいや、気になるに決まってるじゃん!!」
思わず小声で叫んだ。
慌てて病室のドアを確認する。
……よかった、誰も来てない。
私はスマホを開いて、及川さんとのトーク画面を表示した。
最後のメッセージは、さっき及川さんから届いたもの。
及川徹:今日はちゃんと寝るんだよ! 明日も顔見に行くからね〜!
「……うぅ、及川さんのばかぁ……」
寝られるわけないじゃん!
あんなこと言われたら!!
私は勢いよく文字を打ち始めた。
○○:及川さん!!
○○:続き教えて?!
○○:あれ気になりすぎて眠れないのぉ!!😭
送信!!
「……送っちゃった!!」
スマホを胸に抱きしめる。
やばい。
ちょっと恥ずかしい。
いや、でも気になるものは気になる!!
すると。
ピロン♪
及川徹:えっ笑
すぐに返信が来た。
及川徹:○○、まだ起きてたの!?
○○:及川さんのせいです!!!
及川徹:俺のせい!?笑
○○:そうです!!
○○:『俺、お前のこと……』って何!?!?
○○:あそこからずっと気になってるんだけど!!
送信した瞬間、既読がついた。
……。
……あれ?
返信が来ない。
「…………え?」
ちょっと待って。
まさか、困らせちゃった?
やっぱり聞かないほうがよかった?
そう思って、慌てて文字を打つ。
○○:あっ、無理に答えなくてもいいからね!?!?
○○:ごめんね、忘れて!!😭
送信。
すると、今度はすぐに電話がかかってきた。
着信:及川徹
「…………ええっ!?」
うそ!!
電話!?
慌てて周りを見回し、声を小さくして通話ボタンを押した。
「も、もしもし……?」
『……ふはっ』
「……え?」
『いや、ごめん。○○、慌てすぎでしょ笑』
「だ、だって!! 急に電話かかってくるんだもん!!」
『あははっ、ごめんごめん!』
電話越しに、及川さんの楽しそうな笑い声が聞こえる。
……ああ。
やっぱり、この声が好き。
ずっと聞いていたかった声。
「……で?」
『ん?』
「……続きは?」
『…………』
「及川さん?」
『……そんなに気になる?』
「気になるよ!! めちゃくちゃ気になるよ!!」
『……そっか』
及川さんの声が、少しだけ優しくなった。
『……じゃあ、ちゃんと話すね』
「…………っ」
心臓が跳ねた。
『……俺さ』
及川さんが、ゆっくりと言葉を選ぶ。
『○○が眠ってるって聞いたとき、ほんとに怖かったんだ』
「……うん」
『毎日病院に来て、寝顔を見て……今日こそ起きてるかなって、ずっと思ってた』
「…………」
『で、今日やっと目が覚めてくれて』
少しだけ、笑う声がした。
『……嬉しくて、泣いちゃった』
「……及川さん、泣いてたね」
『うわっ、言わないでよ! 恥ずかしいんだから!』
「ふふっ、ごめん笑」
『……もう』
いつもの及川さん。
だけど、その声はいつもよりずっと真剣だった。
『……○○』
「……なに?」
『俺、お前のことが好きだよ』
「…………」
…………え?
「…………え?」
『……え、二回言う?笑』
「えっ、えっ、ちょ、待って!?!?」
『あははっ!』
「……え!? 今、なんて!?」
『……だから』
一瞬、笑い声が止まった。
そして。
『俺は、○○が好き』
…………。
スマホを握る手が震えた。
「…………うそ」
やっと出た言葉が、それだった。
『……嘘じゃないよ』
「……だって……」
涙が滲んで、画面がぼやける。
「……だって、彼女さんが……」
『……うん』
及川さんの声が少し低くなった。
『前の彼女とは、ちゃんと別れたよ』
「…………」
『○○が眠ってる間、自分の気持ちをずっと考えてた』
『あの子にも、ちゃんと向き合って話した』
『中途半端な気持ちのまま付き合い続けるのは、失礼だと思ったから』
私は、何も言えなかった。
『……俺さ、○○が俺のこと好きだって知ったとき、嬉しかったんだ』
「…………っ」
『でも、そのときは自分の気持ちから逃げた』
『ずっと隣にいてくれるのが当たり前だと思ってたから』
及川さんの声が、少し震えた。
『……お前がいなくなって初めて気づいたんだよ』
『俺、○○がいない毎日なんて嫌だって』
ぽろっ。
涙が落ちた。
止まらない。
「……及川さん……」
『……うん』
「……私、ずっと……」
声が震える。
「……ずっと、好きだったんだよ……?」
『……うん』
「……彼女さんができたって聞いたときも……本当は、すごく悲しくて……」
『……うん』
「……でも、及川さんが幸せならいいって……そう思おうとして……っ」
もう、我慢できなかった。
「……っ、私、ほんとは全然よくなかったぁ……!!」
電話の向こうが静かになった。
そして。
『……ごめん』
及川さんが、優しく言った。
『……気づいてあげられなくて、ごめん』
「……っ、うぅ……」
『……泣かないで、って言いたいけど』
少しだけ笑う声。
『……今は、いっぱい泣いていいよ』
その言葉に、私は声を上げて泣いた。
嬉しかった。
夢みたいだった。
ずっと好きだった人が、私を好きだと言ってくれた。
でも、まだ信じられなかった。
「……及川さん」
『ん?』
「……私たち……付き合える、の……?」
聞いた瞬間、心臓が壊れそうになった。
及川さんは、少しだけ黙った。
そして。
『……うん』
『……○○がよかったら、俺と付き合ってほしい』
「…………っ」
『……今度は、ちゃんと大切にするから』
『……だから、俺の隣にいてほしい』
涙でぐしゃぐしゃになりながら、私は何度も頷いた。
「……っ、うん……!」
『……ほんと?』
「……うんっ……! 私も、及川さんが好き……!!」
『……っ、はは』
及川さんが、泣きそうな声で笑った。
『……よかったぁ……』
「……及川さんも泣いてるの?」
『泣いてないし!』
「絶対泣いてるじゃん……笑」
『……うるさいなぁ、もう!』
ふたりで笑った。
泣きながら。
1ヶ月ぶりに、心から笑えた気がした。
*そして、電話を切る直前*
『……ねえ、○○』
「……なに?」
『明日、病院行ったら……直接、もう一回言っていい?』
「……え?」
『電話じゃなくて、ちゃんと顔見て言いたい』
胸が、またいっぱいになる。
「……うん……待ってる」
『……約束ね』
「……約束!」
『……じゃあ、今日はもう寝なよ?』
「……うん!」
『おやすみ、○○』
「……おやすみ、及川さん」
電話が切れた。
私はスマホを胸に抱きしめ、天井を見上げた。
「…………夢じゃ、ないよね?」
頬をつねる。
「……いたっ」
夢じゃない。
本当に、及川さんが好きって言ってくれた。
ずっと届かないと思っていた恋が、やっと動き始めた。
私は枕に顔を埋めて、小さく笑った。
「……明日、早く来ないかなぁ……!」
……あ。
でも。
ひとつだけ、気になることがある。
及川さん。
明日、病室に来たら。
もう一回、ちゃんと告白してくれるんだよね……?
楽しみすぎて、やっぱり眠れそうにない。
——つづく♡
コメント
1件
ああ、ついに…! 第12話、胸がいっぱいになりました。及川さんが電話で「俺は、○○が好き」って言った瞬間、本当に涙が出そうでした。ずっと「俺、お前のこと……」で止まっていたから、続きが聞けて本当によかった…! それに、及川さんが前の彼女とちゃんと別れてから告白してきたところ、誠実さが伝わってきて好きです。「好きだって知ったとき、嬉しかったんだ」という言葉も、あの事故や昏睡があったからこそ響くものがありました。 明日、直接もう一度言うって約束も――楽しみすぎて眠れない気持ち、すごくわかります笑 続き、気になります!