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第四話:初めての夜、ふたりの距離
それから数日、何も言葉にしなくても、ふたりの関係は確実に変わり始めていた。
真白は相変わらずクールで、陽翔に対してはツンツンした態度を崩さなかったけれど、どこか優しさを見せてくれる瞬間が増えた。
そして、今日もいつも通り夕食後、陽翔はベッドに入り、真白を待っていた。
「先輩、そろそろ寝る?」
「……お前、今日は寝るの早いな」
「だって、今日は先輩と一緒に寝る日だから」
「は?」
「いや、だって、ちょっと前まで恥ずかしくて言えなかったけど、やっぱり先輩と一緒に寝るのが一番落ち着くし」
真白が何も言わずにベッドに横になった瞬間、陽翔は静かに近づいて、もう少し真白の体に寄り添った。
「先輩、もしかして照れてる?」
「お前が近すぎるだけだろ、バカ」
「でも、今日はちょっと違う気がするんだよね。なんか、今日は先輩の方が緊張してるみたい」
「……お前、ほんとに鈍感だな」
「鈍感でも、こうして触れてると、わかるよ。先輩、ちょっといつもと違う」
蓮は何も言わなかったけれど、目を閉じて少し深呼吸をした。
その瞬間、陽翔はぎゅっと真白に手を伸ばし、少し力を込めて抱きしめた。
「先輩、好きだよ。いつも、好きだって思ってる」
真白は軽く息を吐きながら、陽翔の背中に手を回した。
「お前、まだ、俺が拒絶すると思ってんのか?」
「ううん。だって、もう無理だよ、俺。先輩のことが好きすぎて、もう逃げられない」
その言葉に、真白は少しだけ頬を赤くして、陽翔をしっかりと抱きしめ直した。
「俺も、お前のこと…好きだよ」
その言葉をきっかけに、ふたりは静かにお互いの顔を近づけた。
ほんの少しの間、沈黙が流れる。
そして、ゆっくりと、唇が触れ合った。
キスは、最初は優しく、互いの存在を確かめるように。
だけどその後、徐々に深く、熱くなっていく。
陽翔はその感触に溺れそうになりながら、手を真白の首に回し、もう少しだけ近づこうとした。
「先輩、もっと…」
「待て、陽翔。焦るな」
真白が少しだけ引き離して、陽翔の髪を優しく撫でる。
「お前のこと、ちゃんと感じさせてやるから。だけど、今日はちょっとだけ我慢しろ」
陽翔はその言葉に戸惑いながらも、真白の腕の中で静かにうなずいた。
真白が次に何をするのか、陽翔は少し怖くて、でもそれ以上に興奮していた。
「……先輩、なんか、すごくドキドキする」
「お前が、俺にだけこうして触れたくなるのも分かるだろ?」
その言葉に、陽翔は思わず顔を真っ赤にして、少し顔を伏せた。
「……うん。だって、先輩が俺だけのものになってくれるんだもん」
真白はその言葉に微笑んで、陽翔を抱きしめながら、もう一度唇を重ねた。