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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。二週間ぶりに我が家である農園へと戻ってくることができました。感無量とはこの事ですね。
「お嬢様!よくぞ、よくぞご無事で!」
「ふふっ、泣かないで下さい。心配をかけましたね、ロウ」
すかさず駆け寄ってきたロウは号泣しています。その姿を見ていると胸が暖かくなりますね。
「先ずは無事のご帰還、何よりでした」
「ご心配をお掛けしました、マクベスさん」
マクベスも安堵のため息を吐かれていました。心配をかけてばかりですね、私。
「いえ。先ずは身体を清められてください。留守の間の報告は後程」
「はい」
ん?あの集団は海賊衆!?戻っていたんですね!?
「エレノアさん!わぷっ!?」
「シャーリィちゃん!ああ、良かった!心配かけるんじゃないよ!全く!」
いきなりエレノアさんに抱きしめられました。嬉しいのですが、その豊かすぎるお胸様に埋もれて……むぐぐっ!
「エレノアの姉さん、シャーリィが窒息しちまう」
「おっと、悪い悪い。前回と言い私が留守にしてると必ず怪我してないかい?シャーリィちゃん」
「あはは……」
うん、前回は脚で今回は肩を撃たれましたね。エレノアさんが居ないと撃たれる運命なのでしょうか。
「お姉さま、先ずは治療を」
おっとそうでした。
「また怪我してるね。足も……裸足のままなら怪我もするか」
「はい、詳しいお話は後程。直ぐに医師を」
「ならちょうど良い。ロメオ!ロメオ!こっちに来な!」
エレノアさんに呼ばれて青い髪の少年が現れました。左側に眼帯していますね。まさか。
「こいつはロメオ、私の歳の離れた弟でね。医学生なんだよ」
「本当ですか!?」
遂に我が『暁』にお医者様が!?
「まだ学生だよ!一人前には程遠いって!」
「まあ、学はあるんだ。こいつに手当てをさせてくれないかい?」
「もちろんです!」
「ん、右肩に銃創と……両足に裂傷があるな。軽いけど、その調子だと脚の裏は悲惨なことになってるな」
ロメオさんは私を観察してます。
「良いのかよ?シャーリィ。初対面だぜ?」
ルイが間に入ります。
「何か問題が?エレノアさんの弟さんなら信用に値すると思いますが?」
「お前がそれで良いなら良いけどよ」
はて?
「それではお願いします。諸々は後程」
私はロメオさんと一緒に医務室へ向かいます。そして椅子に座り、対面にロメオさんも座って傷の手当てを受けるのでした。
結論から言えば、手当ては痛かったです。当たり前ですが。
傷を入念に消毒して、血を綺麗に拭き取って煎じた薬草を塗り込まれました。薬草の扱いに慣れてる……?
「なんで貴重品の薬草が山ほどあるんだよ」
「勝手に育ちますから」
それこそロウ曰く雑草みたいに。薬草園を作りましたけど、ほぼ放置してます。勝手にはえてきますし。
「いやいや、そんなわけあるか。ここは常識が通じないか?」
「否定はしません」
後は肩と両足に包帯を巻いておわりです。最初は痛かったけど、何だか痛みが引いてきたような?
「鎮痛効果がある薬草を混ぜたんだ。少しはマシになる筈さ」
「薬草に詳しいのですね?帝国の医学に薬草は無い筈ですが」
「一時期南方に居たからな。あんまり聞かないでくれよ?」
「聞きませんよ。ここでは過去なんて些細なことです。『暁』に協力してくれると思って問題ないですね?」
「姉貴の話を聞いてな。来て早々治療に駆り出されるとは思わなかったけど」
確かによく見れば医務室のベッドは満員状態。留守の間に戦闘が起きたみたいですね。
「ここにはいろんな種類の薬草が豊富にある。外傷なら大抵は何とかなると思う」
「それは良かった。皆を治療してくれてありがとうございます」
「成り行きだよ」
あっ、そっぽ向いた。照れ屋さんですね。
「ふふっ」
「笑うなよ……よし、全治二週間かな。薬草の効き目を観察したいから毎日経過を見るからな?」
「ありがとうございます。ロメオさんでしたか。改めて、『暁』代表のシャーリィです。お見知りおきを」
「姉貴もイカれたか?こんな小さな子に代表させるなんてさ」
ん?
「小さな?」
「だってまだ十代前半、十三歳くらいか?いやそれより若いだろ、絶対」
カッチーン。
「こう見えて一七なのですが?」
「発育悪いパターンか、悪いな」
よし、ギルティ。
「決めました、後でお仕置きです」
「何でだよ!?」
ルイと言いロメオさんと言い、男の子にはデリカシーを期待するだけ無駄みたいですね。発育に関しては、諦めてますが。
手当てを終えた私はそのまま会議室に向かい報告を受けました。
「やはり襲撃を受けましたか」
マクベスさんの報告では、『エルダス・ファミリー』幹部バンダレス率いる部隊に攻撃されて、返り討ちにしてバンダレスを確保。
代わりに死者十五名負傷者二十名を出すこととなりました。また私の不在の間に……。
いや、嘆くのは後です。それよりも。
「エーリカは?」
「ロメオ少年の手当てを受けて療養中です。エーリカ嬢が居なければ甚大な被害が出ていたでしょう」
「そうですか……分かりました。後でお見舞いに行きます」
エーリカには感謝です。
「気合いが入ったお嬢ちゃんだよ。流石はシャーリィちゃんの友達だね」
「ありがとうございます、エレノアさん。エーリカも喜びますよ」
「おう。で、そろそろそちらのお嬢さんを紹介しておくれよ」
「まだ自己紹介を済ませて居なかったのですか?」
私の後ろに居るレイミに視線を向けるエレノアさんを見て、レイミに視線を向けて問いかけます。
「お姉さまに紹介して頂きたいとエレノアさんが」
「そうでしたか。では改めて」
レイミが一歩前に出る。
「私の妹、レイミです。奇跡の再会を果たせました」
「レイミともうします。『オータムリゾート』でお世話になっています」
礼儀正しく一礼するレイミ。
「おう、シャーリィちゃんの妹さんかい。良かったね、シャーリィちゃん。無事に再会できたんだ?」
「はい、色々ありましたけど今回最大の成果ですよ。レイミ、こちらはエレノアさん。我が『暁』の海賊衆を率いています」
「よろしく」
「こちらはマクベスさん、我が『暁』戦闘部隊の指揮官をお任せしています」
「以後お見知りおきを」
「そしてロウには農園を任せています」
「レイミお嬢様、ご無事で何よりでございます」
「ありがとう、ロウ。皆さんもよろしくお願いします」
「他にも居ますが、今は不在なので改めて紹介しますね。ルイ、アスカは?」
「部屋で休んでるよ。ずっと気を張ってたんだな」
「アスカには随分と助けられました。ゆっくり休んでくれるとよいのですが。ルイもしっかり休んでください」
「お前もな、シャーリィ」
「はい。私はこれからレイミとエーリカ達を見舞って休みます。エレノアさんも身体を休めてくださいね」
「あいよ、成果についてはシャーリィちゃんが休んでから伝えるさ。今は休みな」
「ありがとうございます。行きますよ、レイミ」
「はい、お姉さま」
私はレイミと一緒に会議室を出ます。先ずは留守を守ってくれた皆を労わないといけませんからね。