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𓏸𓏸が元気を取り戻しはじめた朝。それでも、いつものように飛び起きてご飯を作りには行かず、
布団の隣で静かに涼ちゃんの方を向いて座っていた。
「おはよう、涼ちゃん」
𓏸𓏸の声に、涼ちゃんはほんの少しだけ顔を上げる。
「…うん」
その声は小さく、ほとんど吐息のようだったけれど、
𓏸𓏸にはきちんと届いていた。
𓏸𓏸が「今日は暖かいね」とか、「昨日の夢、変だったよ」と小さなおしゃべりをすると、
涼ちゃんも時々
「…そうなんだ…」
と、かすかに、でも確かに声を返してくれる。
数は少ないけれど、その一言一言に、𓏸𓏸は心からの嬉しさを感じていた。
「今朝は、まだ急がなくていいよ」
「うん」
にこっと笑って、𓏸𓏸は涼ちゃんの言葉を何度も何度も心の中で繰り返した
朝の光がゆっくりと部屋いっぱいに満ちていく。
言葉は少なくても、
心地よい静けさとやさしいぬくもりが、ふたりの間に広がっていった。
――ここから、また新しい日々がはじまる。
そんな気配がまるで微風のように、やさしく部屋を包んでいた。