テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
涼ちゃんはリビングのソファーに、力が抜けたように座っていた。ぼんやりと宙を見つめ、何かを考えているようで、何も考えていないようでもある。
隣の部屋からは、𓏸𓏸がピアノを弾く音がゆるやかに流れてきた。
その曲の名前も、フレーズもよく分からないけど、
ただ静かに耳に馴染んでいく。
少しずつ目蓋が重くなってきて、
涼ちゃんはピアノの音色に包まれながら、
そのまま眠りこんでしまった。
𓏸𓏸が弾き終わり、リビングに戻ってくる。
そっと様子をうかがって、
涼ちゃんが気持ちよさそうに眠っているのを見て、
𓏸𓏸は小さく微笑んだ。
「……ちゃんと休めてるかな」
そっと毛布を取り、涼ちゃんの体にやさしくかける。
そのままおでこに手を添えて、様子を見る。
「熱……大丈夫そうだね」
𓏸𓏸は小さな声で、安堵と温かさのこもった言葉をつぶやき、
ゆっくりとリビングの空気にふたりだけのやさしい時間が満ちていった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!