テラーノベル
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多くの手が風呂に浮かぶ。
これらは私がかつて愛していた人々の手です。
今日は新しい装備を貰った。
レティシアって子の、なんかやけに可愛いやつだ。まぁ、別に似合っていないわけではないだろう。正直言って、僕はどっちつかずな見た目をしているから、誰も気にしないだろう。
僕だって気にしていないんだし、そもそも今の所そんな所まで気にしそうな人がこの会社に居ない。
「ん……おはようございます…」
「おはよ、Noob」
「あぁ…Chanceさんは相変わらず元気ですね…」
「そうか?まぁ、元気なのはいいことだろ?」
「…まぁ、そうですね」
「今日も新しい幻想体だってよ、頑張ろうな〜」
「ん、そうですね」
Chanceさんは優しいけど、ここまで優しくする必要があるんだろうか。
まぁ、正直助かってはいるが、色々と。
「そういえば、なんか最近は業務時間が長いですね」
「お、あぁ、そうなのか?
俺が入社した時にはもうこのくらい長かったからな、分かんねぇわ」
「あ……そういえばそうですね、すみません」
「全然。気にしないでくれ」
そんな感じで雑談していたら、作業通知が入った。
今回は…T-05-51だそうだ。Chanceさんに手を振って、メインルームから出る。
やっぱり、初めての幻想体に会う時は少し緊張するなぁ。なんて、いつも思いながら仕事をしているわけだが、今の所僕は死んだことがないので、まだそんなに怖がらなくてもいいのかもしれない。
ただ、やっぱり周りが死んでいるようだから、怖い物は怖いのだが。
「…ここか」
えぇっと、Chanceさん曰く、前日に来た幻想体の部屋は暗かったらしいが…ここはそうじゃないみたいで、安心した。
というか、T-02-43…もとい母なるクモの収容室には、蜘蛛が沢山居るらしい。そんな収容室に1人で入れられたら、僕はきっと気絶してしまう…あぁ、あの幻想体の作業が回ってこないことを祈ろう。
「失礼します………浴槽…でも、中に入ってるのは…」
遠くから見た限り、血のように見える。
血が貯まった、浴槽…?なんともまぁホラーなものだ。とはいえ、無数の蜘蛛が居る密室以上に怖い物はないのだが。
「愛着…愛着かぁ…」
この風呂にどうやって愛着作業をするんだろう、と思いながら、自分でなんとなく解釈して行動に移してみたところ、なんだか上手く行ったらしい。
それはよかったのだが、本当にアレで良かったんだろうか。
「はぁ~……なんか、考えてたら疲れたな…」
最近はあまり寝れていないのか知らないが、鏡で自分を見た時に、なんとなく寝不足だと感じる。
だからと言って、別にフラフラするとか、眠くて仕事が手につかないとかではない。じゃあ、なんなんだろうか、これは。
精神的にもなかなか来ているし…噂によると、精製したエネルギー…エンケファリンは摂取することが出来るらしい。なにやら、精神なんかを安定させるとか、そんな効果があるとか。
これが正しい情報かは分からないが、セフィラの方…イェソド様か、管理人に頼って処方してもらうのもありかもしれない。
まぁ、イェソド様は怖いからあまり話しかけたくないのだけれど。
「ただいま戻りました~…あ、Chanceさんはまだ帰ってきてないのか」
僕が作業に行ったあとに、作業指示が入ったのだろう。
もしそうならいいが、もしうっかり試練とかだったらどうしようか。1人で処理させるというのは、なかなかに酷な事だと思う。
「…まぁ、Chanceさんなら上手くやるか」
そんな感じで、作業指示とChanceさんを待っていたら、先にChanceさんが帰って来た。
「はぁ~、あの小さな子供、なかなか上手く機嫌取れないわ~」
「おかえりなさい
子供…レティシアのことですかね。確かにあの子は…ちょっと難しいかも」
「だろ?お前もそう思うか、やっぱり」
「はい、まぁ、少しだけ」
Chanceさんの、レティシアへの愚痴を聞いていたら、今日の仕事は終わった。
Elliotさんとか、Shedletskyさんとかが頑張ってくれたんだろう。
…というか、Chanceさんはあの2人と面識があるんだろうか?ちょっと気になるから、明日聞いてみようかな。
DAY8:
血の風呂 /T-05-51
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