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とある薄暗いbar。敵連合のアジトであるその場所に指名手配されてる敵達が集う。テレビでは雄英の失態が放送されていた。
「ふふ…俺らのことを盛大に宣伝してホントありがたいよ。なぁ?そう思わないか霊華海鈴…」
「……………」
「起きないですねー」
「敵に囲まれてるってのに呑気だな。オキロや!!」
「図太い神経だ」
攫ってきた敵に素質ある子ども。Mr.コンプレスの個性を解いてからずっと眠り続ける。万が一起きて暴れないように拘束付きの椅子に座らせているが、全く起きる気配がない。
「早く起きてくださーい。じゃないとチウチウしますよー」
「やめろ。こいつは仲間になる予定なんだから」
「でもこうも起きないと話すこともできないじゃない。もう起こしたらどうかしらん?」
「荼毘、起こせ」
「…は?起こしたら暴れるぞこいつ」
「いいんだよ対等に扱わなきゃな。スカウトだもの。それにこの状況で暴れて勝てるかどうか、わからないような男じゃないだろ」
「……トゥワイス起こせ」
「はァ俺!?嫌だし!」
言葉とは裏腹に寝ている霊華に近づくトゥワイス。
「えーどうやって起こすんだ?叩けば起きるな!起きろセンチョー!!」
起こすために振り下ろされる手。
船長という単語で今まで閉じていた瞼が薄らと開かれた。
「船長!今日は何処に向かいますか?」
「え〜?私はやっぱりお宝が欲しいし、財宝ゲットしない?」
「さすが船長!」
「せんちょー?早く来ないとご飯無くなっちゃいますよ?」
「え?!今行く!みんなで食べたいから!ちょっと待ってよ!!」
「はいはい」
「今日はどんなルーキー達に会えるかな?」
『もう………でき……な……ら……』
ザ、ザザ。
耳障りな雑音が大きくなる。
『…び……こ……』
ザ、ザザ。
いやだ、なにこれ。私とみんなの声以外入ってくる。やめて。
『トゥ……こせ…』
うるさい
『仲間に』
うるさい
『起きろ船長!』
うるさい!
「 聞かないでください 」
手が耳を覆う。は、は、と自分の息が荒くなっていると自覚した。顔を上げられ、みんなの顔がよく見える。
「船長、どうしたの?」
赤い、赤い瞳が覗き込む。
「……ううん。なんでもない」
「それならいいけど… 」
「うん……」
「疲れた?食べたら少し昼寝でもしません?」
「みんなで一緒」
「大丈夫。そばに居ますよ!」
「!?」
「っぐ…!」
「ひっ」
「っっ………」
「ぁ…!?」
ガン、と膝をつかせるぐらいの威圧感が襲う。肌を刺すほどの痛み。動けば死ぬと思わせる殺気を目の前で寝ていた子どもから放たれた。息をするのもしんどくなり、耐性がなければすぐに気絶していた。長く続くかと思われたがすぐに威圧感がなくなる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「おぇぇ」
「ヒュー、ヒュー」
「な、なんだこいつ」
「死柄木弔、大丈夫ですか?」
「あぁ…」
瞼を閉じで眠る霊華。これでただの子どもではないと、ヒーローの器じゃないと改めて知らしめた。
「早く起きてくれ…そして話をしよう。お前ならきっと理解してくれる」
素晴らしい観察眼、容赦ない脅し、並外れた戦闘能力に思考力、そして今放った殺気。どれをとっても敵に向いている。いや、むしろ敵そのものだ。霊華が敵になればヒーローに大打撃を与えられる。矛盾ばかりのヒーローじゃなく、敵になって世間に問いかけよう。ヒーローとは正しいか、社会とは本当に正しいのかを。
「お前は大切なコマだからな。起きるまで待つさ。あぁ、その時まで待ち遠しいよ」
依然として瞼を閉じたまま、霊華は眠り続けた。
「せんちょー!今日はバカンスに行きませんか?」
「バカンス?」
「そう!みんなで楽しくパーティです!」
「いいわね!それじゃあ新しい水着でも着ようかしら?」
「ヤッター!船長の新しい水着だ!!」
「そんなに喜ばないのw変態には船長からのお仕置よ!」
よこからお肉を取り上げて食べた
「船長酷い!」
「でも沢山食べてる船長もいい!」
「何よそれw反省してないの〜?」
「反省しました!」
誘拐されてから3日目。
敵連合のアジトであるbarでは、まだ霊華は眠り続ける。テレビでは雄英高校の謝罪会見が流れていた。
「おいおい、ここまで起きねーと流石に変だぜ?」
「薬でも使ったの?」
「マジシャンに薬の類はNGだ」
「無理やり起こそうとすると、前みたいに殺気浴びせられますし。どうしますか死柄木弔」
「………仕方ない、ヒーロー達も俺らの調査を進めていると言っていた…悠長に待ってられない。先生、力を貸せ」
《………良い判断だよ死柄木弔》
「コンプレス、拘束具をといてしまっておけ」
「分かったよ。3日間眠り続けるなんて想定外だ」
Mr.コンプレスが霊華の拘束具をとくために動く。霊華なら理解してくれると、起きるのを楽しみにしていた死柄木は落胆した。霊華を拐って雄英やヒーローが黙っていない。早く策を立てなくては。死柄木は憂鬱に重い腰を上げる。そんな敵にタイミングを計らったように扉がノックされた。当然表向きbarであるこの店に、ノックなんてありえない。
「どーもォ。ピザーラ神野店です」
敵の視線が扉に集める中、静かに眠り続けていた霊華の瞼が微かに開いた。
SMASSH!!
壁を破る崩壊音と共にヒーローが雪崩れ込む。戸惑う敵連合にヒーローはスピード勝負を仕掛けた。シシリンカムイの個性で敵を木で巻きつけ、グラントリノが炎の個性を持つ荼毘を気絶させる。
「もう逃げられんぞ敵連合…何故って!?我々が来た!」