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オールマイトを始めとしたプロヒーローと銃火器やプロテクターで武装した警察官が敵連合と対立する。
「オールマイト…!!あの会見後に、まさかタイミング示し合わせて…………!」
「木の人!引っ張んなってば!押せよ!!」
「や〜!!」
「攻勢時ほど守りが疎かになるものだ…ピザーラ神野店は。俺たちだけじゃない。外はあのエンデヴァーをはじめ、手練のヒーローと警察が包囲してる」
「怖かったろうに…よく耐えた!ごめんな…もう大丈夫…?」
ここで初めてヒーローは霊華の状態を知る。拘束はとかれているものの椅子に大人しく座る異常な状態。敵に捕らえられて何かされている可能性はあると頭の隅には入れていた。霊華のことだから敵に威勢張っていると思っていたが実際どうだ。ヒーローが来たのにも関わらず、こちらを認識していない。むしろ何が起きたか分かっていない。でなければあんな澱んだ目をするはずがない。まだ子どもである少女を、ヒーロー志望の未来ある卵をこんな状態にした敵連合に怒りが湧く。
「敵…霊華少女に、何をした!?」
「何もしてねぇよ…クソ、せっかく起きてくれたのに…せっかく色々こねくり回してたのに………何そっちから来てくれてんだよラスボス…」
死柄木が黒霧に脳無を連れてくるよう命令するが一体も現れない。
「すみません死柄木弔…所定の位置にあるハズの脳無が…ない!!」
「!?」
「やはり君はまだまだ青二才だ死柄木!」
「あ?」
「敵連合よ、君らは舐めすぎた。警察のたゆまぬ捜査を。そして我々の怒りを!!」
オールマイト部隊は霊華の救出を、エンデヴァー部隊はその包囲を、別部隊では脳無格納庫を制圧していた。
「おいたが過ぎたな、ここで終わりだ死柄木弔!!」
木で拘束された敵連合に向けて力強く宣言する。No. 1ヒーローの威圧が一部を除いで圧倒される。
「終わりだと…?ふざけるな…まだ始まったばかりだ。正義だの…平和だの…あやふやなもんでフタされたこの掃き溜めをぶっ壊す…その為にオールマイトを取り除く。仲間も集まり始めた。ふざけるな…ここからなんだよ……….」
黒霧を呼ぼうとした途端、細い何かが黒霧の体を突き抜ける。項垂れる黒霧の姿に動揺を隠せない。
「キァアアやだぁもお!!見えなかったわ!何!?殺したの!?」
「中を少々いじり気絶させた。死にはしない。忍法千枚通し!この男は最も厄介…眠っててもらう。そこの少女が過去に暴いた弱点を参考にしたよ」
「さっき言ったろ。おとなしくした方が身のためだって」
グラントリノが捜査で分かった敵連合の本名を5名読み上げる。世間からも、身元上も、この状況から逃げることは出来ないと追い討ちかけるように告げる。さらにボスの居場所を聞き出す厚かましさに、死柄木の怒りが沸騰する。
「………ふざけるな、こんな…こんなァ……あっけなく…ふざけるな…ふざけるな……」
「奴は今どこにいる」
「失せろ……消えろ…」
「死柄木!!」
「おまえが!!嫌いだ!!」
増悪込めた叫び声を応えるように、突如湧き出した黒い液体から脳無が現れた。店内や外に複数湧き出した黒い液体をゲートにして次々と現れる脳無。予想外な出来事にヒーローも警察も敵の注意が疎かななったその時、霊華の口から黒い液体が吐き出される。
「ごほっ……」
「霊華少女!!Nooo!!」
苦痛の表情すら顔に出さない。自分が何を起きているのか、何されてるのか理解していない。オールマイトが触れられる前に、黒い液体が霊華の体を覆って跡形もなく消えた。
抉られた大地。元脳無格納庫の場所に黒い液体がパシャリと現れる。未だ意識がはっきりしていない霊華は黒幕の前に立つ。
「悪いね霊華」
黒幕の言葉に反応なし。霊華の背後で次々と黒い液体から死柄木達が現れる。
「また失敗したね弔。でも決してめげてはいけないよ。またやり直せばいい。こうして仲間も取り返した。この子もね…君が大切なコマだと考え判断したからだ。いくらでもやり直せ。そのために僕がいるんだよ。全ては君の為にある」
呑気に会話をしているが、背筋が凍るほどの威圧感に立ち入ることはできない。
そんな会話を他所に初めて霊華が動く。静かなまま、澱んだ目をぐるりと見渡す。瓦礫、黒幕、敵、マウントレディ、ギャングオルカ、プッシーキャッツ、ジーニストそして。
途端、ひどい地割れと威圧感がその場にいる者達にのしかかった。
「ほほう、これはこれは興味深い。弔、君はいい拾い物をした」
バキバキと地面から天に向かって木が生える。意志を持っているのか、霊華と倒れているヒーローを囲う。霊華の髪の中から小さな獣が顔を出した。
《グオオオオオオオオオ!!!!》
ひれ伏せと言わんばかりの、この世とは思えない咆哮が轟く。赤く発光する目。手が木と同調しているのか同じように動き、鋭い枝先が敵に向ける。異次元の怒りが牙をむく。
《カァカァ!!》
その咆哮に応答するかのようにカラスが来たしかし。カラスなのに白く、毛先が少しピンク。極めつけは、白と赤のオッドアイで小綺麗なカラスだ。そのカラスは霊華に突然近ずいたら6歳くらいの全身が白く髪の毛先がピンクの幼い子供になった
「………やはり…来てるな…」
別方向から物凄い勢いで何かが飛来し、黒幕に拳をぶつける。建物さえ吹き飛ばすほどの重い拳を受け止め、後退りもしない黒幕。
「全て返してもらうぞ!オール・フォー・ワン!!」
「また僕を殺すか、オールマイト」
影響力を及ぼす者達が、一つの場所に集った。