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「ジン・・・・・仕方ないよ。僕は魔法不全者だから。それに。」
『それに?』
「僕には、僕達には前科があるでしょ?」
『そういえばそうだったな。あの時はどうなるかと思ったぜ。』
「そうだね。」
ライムは聞こえてきた声に特に驚くそぶりを見せずに魔法書から視線を外し、自身の左腕に身に付けている水色の石が付いたブレスレットに視線を移して応えた。
・・・どうやら、先程から聞こえる声の出どころはこのブレスレットかららしい。
ジンと呼ばれた声がそのまま話を続ける。
『まあでもお前があの時外に出たから、今こうしてあの名門校、イーストン魔法学校の試験勉強が出来てるんだから結果オーライだろ。』
「う、ん。」
『どうした?・・・・不安か、やっぱり。』
ライムの歯切れの悪い返事にジンが聞くと、ライムは眉を八の字に下げながらこくりと頷いた後、魔法書を持つ手にギュッと力を入れた。
「正直、不安の方が大きいかな。でも・・・あの時頑張ってイーストンに入るって決めたから。出来るだけの事はするよ。君も一緒だしね。」
『そうだな。お前には俺がついてる。・・・というか実際に試験を受けるのは俺の方だけどな。』
「あっ!そっか。」
『でもまあ、お前の得た知識が俺の知識になるからな。頑張ってくれ。そのかわり実技の方は俺に任せろ。』
「うん。ありがとうジン。」
『じゃあ俺は少し眠る。何かあったら起こせ。』
「分かった。おやすみ。」
『おやすみ。』
話を終えジンが眠りにつくと、ライムは魔法書を読み始めるのだった。