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すぐに電車は来て、私達はあまり混んでいない電車に乗り込み横並びで椅子に座った。
「また、世一って呼んでもいい?」
「いいよ全然!そんなん気にすんな!」
彼はニコッと人当たりのいい笑顔をこちらに向けて俺も〇〇ってよんでいい?と聞き、私は首を縦に振った。
でも、一番肝心で聞きたいことは聞けていないままだった。
多分、今言わないと今日一日中は後悔するのだから言おうと気持ちを固めた。
「あの!」
少し大きめの声が出て恥ずかしくなり俯いたら世一は横で少し笑いながら、ん?なんて私の様子を伺ってくれる。
「…彼女とか好きな人ってできてる?」
私は今まで世一がどこかで忘れられなくて、いつの間にか私の中の“理想の人”が世一そのものになっていた。
だから恋なんてそんなものはなくて、告白されてもアタックされてもその気にはなれなかった。
彼もそうだったらいいななんて淡い期待を抱いてしまう自分がいる。
「それがさー、居ないんだよほんと。」
「え!?そうなの?」
「うん、中学は部活で忙しかったしする気にならなかったっていうか。」
少し困ったように後ろ髪を触る彼。
理由はともあれ出来てないんだ、なんてホッと安心した。
「〇〇は?できてる?」
冗談でもあなたが忘れられなくて作れませんでした、なんて言えないため「いないよ」とだけ言っといた。
そのまま、雑談してたら降りる駅が来てそのまま二人で下車した。
駅から学校は割と近くて、話していたらすぐ学校に着いた。
校門をくぐった所で人集りが出来ていることに気づいて私はハッとした。
「クラス替え…」
「うわー、緊張する。俺達同じクラスかな」
そう言ってまっすぐ集まる人を見る彼の昔からの人たらしはご健在のようだ。
少し高鳴る自分の鼓動を感じながら見に行こう、と足を踏み出した。
クラス替えを見て私は勝利を確信した。
そして、それを言葉にする前に彼の声が聞こえてきた。
「〇〇!俺達同じクラスだぞ!」
横で私の為にピースしてニカッと笑う彼に私の心はいとも簡単に射抜かれた。
「まじ!嬉しい!!」 「それな!」
なんて気軽い会話を交わして上機嫌にクラスに向かう。
でも、新入生が校内を完璧に把握している訳ないので私達は少々迷いながらクラスを探した。
彼となら迷っている状況さえを楽しめる。
やっぱり好きだな。
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