「…、」
お腹、空いたなぁ…
ここの都に連れ去られて何日経っただろう。ろくな食事も与えられていない…、1日数回水は与えられるが、それでは俺の体も持たない。縄に縛られ、座らされたまま。もう立ち上がる元気すらない。真っ暗だし、何も見えない。
「帝…、」
ふと、言葉が零れる。会いたい、な。
助けに来てくれる、のかな。男なんて要らないよな…
「っ…wどうしよ、」
dnqさんが消えて3日経つ。
彼女の自室に漂っていたのは、瑞華が以前俺とdnqさんを夜伽させたものだ。そして瑞華の髪の毛らしき物も落ちていた為、彼女による犯行と読んではいる。
…しかし瑞華一族の城に着いてもどのように救出するか、だよな。
城は目の前。入るしかない。後宮に必要最低限の武官を配置し、残りの武術に長けた者を全て放つ。…忍び込んでいる部下の情報だとdnqさんは離れ塔の地下牢に閉じ込められているらしい。
…早く、早く、助けなければ。
もう、後は無いのだから。
彼女が居なくなってしまったら、俺は、私は…っ…
「皆の者、よく聞きなさい。指示を出します」
待っていて下さい、無事なままで。そして、私に、俺に、もう一度、その手を握らせて。その声を聞かせて。その甘い声を、甘い肌を、その感触を、俺に。
「はぁ、…」
ため息が零れる。何故父親の為に私は動かないとならないのか、一度は流された身。もう一度帝に見つかってしまっては命も危うい。
桜綾を閉じ込めて何になるのかしら。帝の寵愛を受ける男とみられる白髪の妃。その髪はこの世ではないような、息を飲む美しさ。女の私でさえ持っていないものを持っている。
罪を犯し、後宮に入り、帝の寵愛を横取りしようと目論み、…私は悪くないのに。全ては、父親が悪い。
「私は…悪くない」
言い聞かせるように声に出す。
身の震えは止まらない。所詮は人の幸せを奪い、この国で1番尊きお方の邪魔をした罪人。
…お父様さえ、いなければ。
今頃素敵な殿方と、幸せに暮らせていたのだろうか…
NEXT1000+コメントくださいな((
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やっぱ神作だぁ… 応援してます!!次楽しみに待ってます!!