〜 side ローレン 〜
家に着くなり俺はグラスにミネラルウォータを注ぎテーブルに置いた
そしてロウの車両を回収した時に拾っておいた薬を横に置く
「あ、忘れてた」
「だろうと思ったよ。ちゃんと飲まないと」
飲み終わるとロウの足をさすった
「痛くないか?」
「はい、もう大丈夫です」
ロウの足の上に置いた俺の右手にロウの左手が重ねられる
その指に指輪は無い
「あの犯人達、今日でこの街を出て行くらしいです。ローレンさんはあの犯人達、見覚えありましたか?なんか最後言ってませんでしたっけ?」
「‥‥いや、昔の仲間に似てるような気がして‥‥でも勘違いだったわ」
「そうだったんスね」
もうこの街じゃ会えないと思っていたから
勘違いでも嬉しかった
あの瞳とヤンチャな笑顔‥‥
けど、ロウにした事とは別だが
「ロウはアイツに何か‥‥されてたけど」
「あ、それは‥‥はい‥‥」
「責めてるんじゃないよ?けど、前にもされた事‥‥あるだろ?言いづらいとは思うけど俺には言って欲しい」
「ごめんなさいローレンさん」
「俺もごめん。忙しさを言い訳にしてお前をちゃんと見てなかった。すれ違いをロウのせいにしてた気がする」
「いや、俺もパレトに固執し過ぎてました。何の情報も無くあの男の事が掴めなさ過ぎて‥‥」
「そうだよな。あの男の知ってる事と言えばロウに惚れてるって事だけだもんな」
「‥‥惚れられてなんか‥‥俺の知ったこっちゃ無いですけど‥‥」
困ったような拗ねたようなロウに笑みが溢れる
「悪かったって。それと‥‥これ‥‥」
俺はポケットからロウの指輪を取り出した
「北見から話し聞いて‥‥俺バカだからロウが指輪置きっぱなしで‥‥つけたく無くて置いて行ったと思ってた」
「え?そんな‥‥」
「北見にはネックレス返しといたよ。俺のあげるね」
俺が普段付けていたネックレスにロウの指輪を通し、ロウの首へ着けた
ロウが首元にある指輪を触りながら口を開く
「俺も一昨日くらいに気づいて‥‥だからまた無くす前にネックレスにしとけばって思って‥‥またすぐ無くしたんですけど‥‥」
「マジで焦ったから。朝玄関口の真ん中に意味ありげに置かれた指輪。俺、部屋の中確認しに戻ったからね?お前出て行ったんかと思って」
「ホントにただ‥‥落としただけで‥‥ごめんなさい」
「何で謝るんだよ。お前が夢中になる事があると飯食わんくなるの知ってたのに。しかもこの激務の中で体力は削られる一方だったし。しかもせっかく珍しく作ってくれた生姜焼きも食べ損ねたし!」
「‥‥珍しくてすいませんね。ネット見たらまたあのくらいの料理作れますけど?」
お互いに顔を合わせ笑い合う
「いいよ、今度は2人で作ろう?」
「‥‥とりあえず今日の夕飯は‥‥」
「ラーメンか‥‥Uberか‥‥」
「ラーメンにしましょう。すぐ作れますから」
ロウはキッチンへ向かい鍋を出す
何をするでも無いけど、俺も傍に行きたくなって立ち上がる
と、ロウは何かに気付いた様に冷蔵庫の陰に向かう
「‥‥何してんの? 」
「これ‥‥昔買ったと思って‥‥」
昔買った?
俺は何を食わされんだろ‥‥
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!