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いやもぅ凄すぎですってば! 智さん頑張って! 小川さん、好きなんよ。好きなんだけどねー! ゆうきさん頑張れ!藍くん我慢せずにゆうきさんの胸に飛び込めー!
いつの間に帰ってきたんやろ‥
ふと気付けば、祐希さんの膝の上で横になっていて‥優しい手が頭をふわりと撫でてくれる。
それがとても心地良い‥
つい顔を擦り寄せたくなるが‥甘えている場合ではない。
勢いよくガバっと起き上がると‥急な動作による目眩が襲い‥
よろける身体を祐希さんが優しく抱き止める。
「駄目だろ?急に動いたりしちゃ‥気分悪い?大丈夫?」
「‥あっ、だいじょぶっす‥」
抱きしめられたせいで‥祐希さんとの距離が近く‥避けるように顔を逸らしてしまった。
だって昨日は‥
断片的な記憶だが‥きっと俺は‥祐希さんに抱かれたんだと思う。
意識がはっきりすると共に、腰の違和感も如実に感じ始めたのが‥何よりの証拠のような気がする。
どうしよう‥祐希さんの顔が見られへん‥
そう思っていると‥
「藍‥昨日の事覚えてる?」
「えっ‥」
祐希さんにそう問われ‥困惑する‥。記憶は断片的だが‥何となく覚えている部分もある。
それを伝えていいものかどうか‥
迷ったが‥
コクリと頷く。
「‥全部は覚えてないけど‥なんとなく‥」
「そんなに呑んだの?」
「いや‥そんなに呑んだつもりは‥智さんが最後に渡してくれたワインを呑んで‥それから記憶が曖昧で‥キツイお酒だったんかな‥」
‥そこまで話して‥ハッとする!何故直ぐに気付かなかったのか‥
「あれ?智さんは?」
部屋にいないのは明白だったが、ついキョロキョロと見渡してしまう‥
「智君なら居ないよ‥藍が潰れたから後はよろしくってメモがあったし。俺がここに来たときはもう藍しかいなかったから‥」
‥そうだったんや‥せっかく智さんが誘ってくれたのに‥酔い潰れて寝てしまったなんて‥
後で謝りの連絡をしなきゃと‥あれこれ考えていると‥
「ねぇ?藍‥なんで智君とワイン呑んでたの?」
距離の近い祐希さんがさらに詰め寄る‥。吐息が耳にかかるぐらいの距離に戸惑ってしまう‥。
「なんでって‥智さんが用意してくれてたから‥俺と飲むためにって‥」
「藍と?俺のことは言ってた?」
祐希さんの言葉に首を振る。俺には祐希さんが来るなんて言ってなかった‥。
「そっか‥」
ポツリと呟き、何か考え事でもしているのか‥そのまま無言になってしまった祐希さんに‥
「あっ、あの‥///」
「‥‥‥えっ、なあに?」
「いや‥なにじゃなくて‥離してくれんと‥困る‥///」
「困る?」
不思議そうに祐希さんは首を傾げるが‥さっきからずっと抱きしめられている姿勢は‥さすがにもう限界だった。
それに‥‥
俺の着ているものは‥祐希さんが貸してくれたと思われるTシャツ1枚だけという格好なのに‥。
「何が困るの?」
‥祐希さんには伝わらないようだ‥挙句の果てに‥
「ねぇ、藍?こっち見てくれる?」
と言われ‥
思わず首をプルプルと横に振る。
こんな状況で見られるわけがない。そんな頑なに視線を向けない俺に対し‥
「昨夜の藍とは違うね‥酔ってたから?」
そう耳元で囁かれ‥思わず身体がビクンとなる。
「そん‥なん‥知らん‥し///」
「くすっ、藍‥耳まで真っ赤じゃん‥嘘つきだね‥」
そう言われたかと思うと‥急に顔を捕まれ強制的に向かせられる。
そして‥
唇を塞がれ‥荒々しい貪欲なキスを施される。
角度を変えるたびに舌が差し込まれ、息苦しさを感じつつも‥徐々に身体が反応し始める‥。そして‥
「んっ?!」
無防備に晒していた下半身へと祐希さんの手が降りてきたかと思うと、下着越しにグッと指で押さえられ‥思わず声が出てしまう。
慌ててその手を止めようとするが、指は執拗にそこばかりを攻めて来て‥
弄られるたびに断片的だった昨夜の感覚が蘇ってきそうになり、熱が集中してしまう‥
‥やっと祐希さんの唇が離れてくれた時には‥俺の方が寄りかかる姿勢となっていた‥。息が上がる。
「‥はぁはぁ、祐希さん、しつこい!」
「藍がね‥知らないなんて言うから、思い出すかなって思ったんだけど‥ニコッ」
息が上がるなか祐希さんを睨むも‥悪びれもせずニコリと笑う‥
「思い出した‥?ここに俺が入ったこと‥」
相変わらず祐希さんの指が動く‥。
「思い出して‥な‥んか‥」
「嘘つくと終わらないよ?思い出すまでするから‥」
‥そうだ、祐希さんという人はこういう人だったとこんなときに再確認してしまう。
素直にならなければいけない‥。
でなければ、宣言通り執拗に弄る祐希さんの指からは逃れられない‥。
「‥分かったから‥もう、ダメ‥思い‥出してるから‥もういい‥やろ?これ‥以上は‥むり‥」
途切れ途切れになりながらも伝える。
「藍の‥ここ、俺の指も飲み込もうとしてるもんね‥かわいい‥ねぇ、藍?昨夜みたいに好きって言って‥」
「えっ‥」
「昨夜言ってくれたじゃん。俺の事好きって‥あれは嘘?」
やっと弄る指が離れ、ホッとしたのも束の間‥
今度は真剣な祐希さんの目が俺を見つめていて‥
何もかもが見透かされそうな眼差し‥
こんな状況なのに好きとは‥言えない気がした。祐希さんの結婚の理由だって分かっていない。
それに‥
小川さんの事もある。
そうだ、小川さん‥連絡するのを忘れていた‥
怒っているだろうか‥。
様々な事が一気に押し寄せる。
そんな風に思っていたら‥
「本当に藍は‥顔に出るよな‥」
フッと祐希さんが笑いながらキスをし、ベッドから立ち上がる。
「祐希さん‥俺‥」
「さぁ、帰る支度しよう!藍‥シャワー浴びるだろ?送っていくから‥それまで待ってる」
俺の言葉を遮り、次にはもうシャワー室へと向かっていた‥
ただベッドに取り残された俺だけが‥
暫く動けなかった‥。
「歩いて帰れますよ、俺‥」
何回も伝えるが‥送ると言って聞かない祐希さんの足取りは早く着いていくのに精一杯だった。
俺の荷物持って先に行くし‥
結局駐車場まで来てしまい、祐希さんが車に荷物を入れるのを半ば放心しながら見つめる。
さぁ乗って!と促され‥助手席に座り込んだときに通知音が鳴り、開くと‥小川さんからだった。
“今、何してる?“
‥俺がオフだという事は伝えていたんだった‥。慌てて返事を書き込む。
智さんに小川には内緒でと言われていたので話せない‥だから、仕事の帰りに呑みに行ってさっきまで家で寝ていたという文章を送る‥。
‥嘘をつくのは初めてや‥
なんとも言えない後ろめたさが心を苛む‥。
送った後、携帯を握りながら‥溜息をついていると‥
「もういいの?」
その様子を見ていた祐希さんに声をかけられ、
大丈夫‥と伝える。
そして、車が発進する直前‥
「藍‥これだけは言っとく。俺は‥お前がいなくなって良かったなんて思ったことはないし、迷惑とも思ったことはない‥」
「祐希さん‥なんで‥それ‥」
「昨日お前が泣きながら言ってたから‥藍‥だから忘れないで覚えていて‥」
ふわりと頰を撫でられる。
俺を見つめる祐希さんの瞳が‥あまりにも優しくて‥
鼻の奥がツンとする。
泣きたくなるのを‥必死で堪えるのに精一杯で‥
それを見せまいと‥窓からの風景をただ眺めていた‥。
‥ここに来て何時間経過したんだろうか‥。
時計を見る。‥もうこんな時間か。
やっぱりいねぇじゃん‥
嘘だったんだと思い‥ホテルを後にする。
その時、着信が鳴り‥智さんからだった。
「もしもし‥智さん?藍、いねぇじゃん。さっき藍からも連絡あって、呑んで寝てたって言って‥」
‥最後まで言えなかった‥。
通話しながら何気なく見た景色の中‥
駐車場から出てきた1台の車に目が止まる。
ほんの数秒だった‥。
だけど、確かにあれは‥
「どうしたの?‥もしかして‥いたんじゃないの?いたでしょ?‥俺の言ったとおりだろ?」
携帯の向こうで智さんが何やら言っているが‥一切耳に入らなかった‥
でも間違いなく‥
駐車場から出てきたのは‥
藍と祐希さんだった‥
携帯を持つ手に力が入らず、滑り落ちてしまう。
まさか‥
信じられない‥
藍が‥
嘘を付くなんて。
その事実だけが‥
俺の心を黒く塗りつぶしていく気がした‥
そして‥‥‥‥‥‥
そうか‥とふと思う。
お前はやっぱり祐希さんを求めるんだね‥
優しくしすぎたのだろうか‥
鎖が必要だ‥
決して離れないようにする
鎖が‥
祐希さんのところになんて二度と行けないように‥
そうだろ?藍‥‥‥‥
俺をそうさせたのは‥
お前なんだから‥