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脳腫瘍は、心身をボロボロにした
前に京本が心強い言葉をかけてくれた時、激しかった頭痛が少し和らいだ気がした
でもそう思ったのも束の間、また俺の頭は悲鳴を上げた
手術が決まった日は、寝られなかった
「ふぅ…はぁはぁっはぁ…」
この呼吸の苦しさは脳腫瘍とは無関係のはずだ
未来のことを考えると胸が苦しくなる
京本にああ言われても、誰にも頼れなかった
いや、頼りたくなかったのかもしれない
コンコン コン
扉を叩く音が聞こえる。この叩き方は、SixTONESのメンバーであることを示している、以前に皆で決めた事だった
「北斗おはよ、調子どう?」
入ってきたのは、樹と慎太郎だった
昔から樹には本音を話すことができる
でも今日は慎太郎もいるからか、話す気になれなかった
「まあまあだね、」
「そっか…」
「5人でやれてる?」
俺はそう聞いた
俺が病気で動けないため、今のSixTONESは5人で活動している
俺は…それがとても苦痛だった
SixTONESは6人じゃないとSixTONESじゃない
そう、思っていたのに、
これからSixTONESは5人になってしまうのかな…
「北斗…?大丈夫?」
はっとして慎太郎の方を見ると、慎太郎がとても心配した顔でこちらを見ている
「何が? 」
「北斗…泣いてるよ、」
「え…」
気づくと俺は涙が溢れていた
「…なんで…俺…」
俺の背中をさする樹の顔を見ると、自然と心のうちが言葉にできていた
「手術が…怖いんだよ。手術したらちょっとは延命できるらしいけど、結局死ぬっていうのに、手術なんてする意味ないって…」
「そんな事ない…」
そう、慎太郎は励ましの言葉をくれた
だが
「何でそんな事言うんだよ」
いつもより低い樹の声が聞こえた
「俺は…俺たちは、北斗にもっと生きて欲しいって思ってる。北斗の事、めっちゃ大切何だよ!諦めないで、精一杯頑張って欲しいんだよ。 」
わかってる。俺はわかってるんだ。そんな事、メンバーが自分の事を思ってくれていることくらい、わかってるのに…
「樹は…何にもわかってないよ」
「はっ?」
「樹も脳腫瘍になってみろよ!どんだけ苦しいか知らないから…もっと生きて欲しいとか言えるんだろ!俺が毎日どんだけしんどいと思ってんだよ!俺は呼吸ができなくなるくらいまで泣いてたんだぞ!」
気づくと俺はそう言い放っていた
はっとして樹の方を見ると、目に光るものが見える
しまったと思った
「あ…いや…ごめん…ほんとにごめん 」
そう俺は謝ったが、樹は小声で俺に謝って病室を出て行った
ずっと俺と樹の様子をそばで見ていた慎太郎は俺を抱きしめた
「北斗はすごいよ。俺には到底できない。尊敬してる。でも、樹とは仲直りしてね。その方が皆んないいよ。」
そう言って微笑んだ慎太郎は天使のように見えた
残りの人生を、精一杯生きようと決めた
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