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こつんっ
額に軽い衝撃が走って、
デュースは目を覚ました。
「……あ゛ぁ?」
デュースはベッドの縁に寄りかかって寝ていた。視界に入ったのは、見下ろしているエースの顔だ。
「起きないとヤバいんじゃないの?」
声はまだ掠れているが、意識ははっきりしている。
「……あ、しまった!」
慌てて起き上がるデュースに、エースはむすっとした顔で言う。
「うっせーよ、オレ病人だかんね?」
「あ、ご、ごめん……」
それでも、さっきまでより明らかに顔色はいい。
息も落ち着いている。
「でも、少しは良くなったんだな、その感じ」
エースは鼻で笑った。
「ふふーん、心配して何度も保健室に来た誰かさんのおかげでね〜」
軽口が出るということは、余裕が戻ってきている証拠だ。
何故か少し、デュースは安心していた。
しかし、デュースは胸を張り、真剣な顔になる。
「ほんっとに心配したんだからな!」
エースは一瞬きょとんとする。
「三回気絶したら、死ぬんだろ?」
「……は?」
「え」
「ほ?」
間の抜けた沈黙。
次の瞬間、エースが噴き出した。
「ブフッwwww そんなわけねーだろww」
「わ、笑うなよ…!」
「そんなの迷信に決まってんじゃんww
誰が教えたんだよww 」
「え、ちがうのか!?監督生が……」
「からかわれてるじゃんww
ゲホッガッwwwwヒィ〜、やっべww」
エースは苦しそうにしながらも、笑いを止めない。
「誰にだって勘違いはあるだろ!」
「いやいやwww 死ぬわけねえからwww」
一通り笑ったあと、ふっと空気が落ち着く。
デュースは少し視線を落として、ぽつりと言った。
「……でも、生きててよかった!」
一瞬、エースの動きが止まる。
「…っは?」
「……いや、だから……死なねえし。」
そっぽを向く声は、さっきより少しだけ小さい。少し恥ずかしくなったのだろう。
「ならよかったな!」
デュースは立ち上がり、明るく言う。
「お大事にな!」
「……いや、待っ……」
呼び止める声は、扉が閉まる音にかき消された。
がちゃり。
ドアが閉まり、部屋に静寂が戻る。
エースは天井を見つめたまま、しばらく動かなかった。
「またどっか行くのかよ…」
でも、胸の奥に、妙なあたたかさが残っている。
「……ほーんと、デュースは心配性だな」
小さく呟いて、目を閉じる。
今度は、ちゃんと眠れそうだった。
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