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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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千歳は黒竜を見て目をぱちくりしている。
『え? ワシら何もしないぞ?』
一矢報いるって、こっちを敵だと思ってる? しかも勝てない相手だとわかって? いや、俺たち敵対なんてしないぞ!?
俺は慌てて黒龍に言った。
「す、すみません調査に来ただけです! こっちの怨霊もそうです! 戦う気は毛頭ありません!」
いかめしい黒竜の目が瞬いた。
[は? 和束ハルとかいう蛇神とは違うのか?]
「あ、その人はこないだ倒して封印しました」
『えっと、ワシがぶった切った』
黒竜は首を傾げた。
[ん? んん? お主ら、もしかして……金谷千歳と和泉豊か!?]
あ、話行ってる。千歳が頷いた。
『うん、ワシ金谷千歳』
「和泉豊と申します。今日はここに打ち込まれていた藁人形の調査に来ました」
[おお、お主らが! 霊力を戻してくれて感謝する!]
黒竜はやっと警戒を解いてくれた。千歳は黒竜に聞いた。
『和束ハルに霊力取られてたのか?』
[吸われていた。あれには参った……]
黒竜、神社にいるから竜神さんと呼ぶべきなのか、彼はため息をついた。俺は竜神さんに説明した。
「この神社に藁人形を打ち込んだ人がいたそうで、でも呪いが呪われた相手に行ってないんですよ。それで、どうしたんだろうって調べに来たんですね」
竜神さんは[なるほど]と納得したようだった。
[確かに、何度も藁人形を打ち付けに来た馬鹿がいる。そのたびに呪いを打ち消しておいたが]
『あ、それで呪われなかったのか!』
千歳が声を上げた。あの呪力とやら、竜神さんが無効化してくれてたのか! だから呪われた相手は何もなかったと!
竜神さんはぼやいた。
[というか、馬鹿が一度打ち付けに来て、その後人がやってきて藁人形を回収したらしいのだが、しばらくして同じ馬鹿がまた何度も打ち付けに来てな。呪いを打ち消している間に逃げられて……]
「ん? じゃあもしかして、ここに藁人形たくさんあります?」
[本殿の裏の木に、20体はある]
「そんなに!?」
『そんなに!?』
[木が痛むから、取っていってくれないか。しかし、あんな強力な霊力の藁人形もなかなかないな]
『あー、それ、悪い藁人形なんだ』
「事情がありまして」
俺たちは、竜神さんに和束みやびの企みを話した。竜神さんは、子ども工場の下りに特に心を痛めているようだった。
[なんというひどいことを……しかし、10人中1人は生きているのか]
「おそらく。何とか助けられればと思っているのですが、現状手詰まりで」
[そのアタリの子とやらが一番霊力が強いな、核が一番強くなければまとまらない]
『そうなんだ』
[金谷千歳、お主の核もそうだ]
『へええ……』
千歳は感心したように嘆息した。竜神さんは考え込んだ。
[しかし、それほど霊力の強い子か……そうか……]
「何かあるんですか?」
[ぜひうちの跡取りにしたい]
「跡取り!?」
『跡取り!?』
竜神さんは真面目な顔になった。
「吾の元は九頭竜。しかし、年を経て1つしか頭を作れなくなってしまった。いつまでもこの地は守れない」
俺たちは慌てた。
『いや、でもほんのチビだぞまだ!』
「まだおむつも取れない子で……本人の意向もあるし、それにどこにいるかもわかりませんし」
[無論、見つかったらの話だ。それに、人としての生を全うしてからで構わない。本人が大きくなってから、本格的に口説く]
「さ、さようですか……」
俺は困った。千歳も困ったようで首を傾げている。
『とりあえずさ、あかりさんに連絡しようか』
「そうだね」
『異界から携帯通じるかな?』
竜神さんが言った。
[通じないことはないが、吾がそちらに行ったほうがよさそうだな]
すると木々のざわめきが戻ってきて、目の前には黒の着流しの老人が立っていた。
[外の者と話すなら、これでよかろう]
ちゃんと気を使ってくれている!
「ありがとうございます」
『じゃ、電話かけるな』
千歳が金谷あかりさんに電話をかけてくれた。俺にも聞こえるようにスピーカーモードにしてくれる。
金谷さんは竜神と跡取り候補に驚くも、藁人形の回収が先決だと言った。
「人骨が入ってるので、まず警察に回してください。でもこの業界のことでもあるので、そうですね、茨城のそちら方面でしたら、「全国の人骨入り藁人形の件です、風炉建築事務所分所の案件です」といえば大丈夫です」
『わかった! 通報しとく』
110番して藁人形と風炉建築事務所分所のことを伝えると、警官が現場に行くとのこと。しばらく待つとパトカーが来て、何人か警官がやってきた。竜神さんは警官にもせがんでいた。
[木が痛むから、藁人形を取ってくれんか]
「一応、現場検証しますので」
[頼むぞ]
本殿の裏の木にはマジでぎっしり藁人形が打ち付けられていて、俺たちも警官たちもドン引きした。警察は、藁人形を取り外して人骨を調べる運びとするそうだ。俺たちも竜神さんも事情を聞かれたが、今回は警察署での事情聴取はないとのこと。
警官たちの尽力により、藁人形が全部外されたので、竜神さまはホッとしていた。
[いや、ありがとう。後は馬鹿に説教しておいてくれ]
俺はため息をついた。
「多分、一度説教してるけど、懲りずに何度もやってるんですよねえ」
そのバカとやらは、金谷あかりさんたちが一度藁人形を回収したあと、隠していた藁人形でまた呪ったんだろう。
[毎回、すぱちゃ? とやらを返せと言っていたぞ]
「あ、それ呪われた人何も悪くないですね、そのバカをこってり絞っておかなくちゃ」
千歳は、スパチャが何かわかっていないようだ。
『すぱちゃ? 何だそれ?』
「スーパーチャットの略。YouTubeでコメントにつけて送れる投げ銭。有名な人はいっぱいスパチャもらえるんだけど」
『投げ銭返せって言ってるのか? 最初から投げなきゃよかったじゃないか』
「おっしゃる通り、自業自得」
警察は藁人形を回収して帰っていき、俺たちも神社を去ることにした。竜神さんは俺たちにお礼を言ってくれた。
[今日はありがとう、助かった。襲いに来たかと思って、きつい言葉をかけて済まなかった]
竜神さんは頭を下げた。千歳は快活に言った。
『全然大丈夫! 腹減ったからさ、この辺でいい店知らないか?』
確かに、今からだと遅いお昼の時間である。竜神さんは南の方を指して言った。
[まず平塚通りに出るとよかろう。学生向けの飯屋がたくさんある。この間参拝に来た学生は、平塚の百香亭がいいとか言っていたな]
「じゃあその百香亭に行ってみます、ありがとうございます」
『ありがとー!』
そういうわけで一段落したので、俺たちはお昼と、その後大学見学をすることにした。
コメント
1件
わああ読み終えたよ〜!📖✨ 今回も面白かった!黒竜さんが「戦う気毛頭ありません!」って言われて「あ、味方だったのか」ってなるの、最初の緊張からのギャップがめっちゃ良かった😭💕 それにしても藁人形20体ってどんだけ呪い続けてるんだ…!しかもスパチャ返せ要求ってクソすぎて笑ったww 千歳ちゃんが「すぱちゃ?」って首傾げてるのも可愛すぎるし、竜神さんが老後に跡取り探してるのもエモい…!次も楽しみにしてるよ〜🌸