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そいつが見えるようになったのは
ルフィとサボと盃を交わした夜のことだった
その日の夜、小便したさに目が覚めた
そして外で用を足し、戻る途中の木陰で人の影が見えた
(誰だ?こんな夜に…まさかブルージャム海賊団の奴らか!?ここすら嗅ぎ付けられたのかよクソッ)
幸い人影は一人みたいだったため一人だけなら俺一人で仕留められると思い俺は茂みに入った
そこにいたのは白い女の服を着た人物が木陰に座り込んで寝ていた
(えっ!?女!?…どうしてこんなところに…)
おそらく俺より年が5つ離れてそうなほど背が高く
俺が見とれちまうほど綺麗で美人な顔をしていたが
本当に女かと思うほど胸はなかった
(ってそんなことはどうだっていい、行き倒れ!?)
このまま放っておくのも気分がよくないと思い介抱しようと俺はそいつに触れようとしたが
するりとこいつの身体が俺の手をすり抜けた
(えっ……?今すり抜け……)
よくよくそいつをまじまじとみると全身が半透明だった事に気がついた
(嘘だろ……まさか……幽霊!?)
一瞬背筋が凍りつき俺はすぐさまその場を走り去った
その日の夜のことはサボやルフィには黙っていた
それ以降昼間は見えねぇが夜になると時々そいつがうっすら見えるようになっていった
どうやらこの幽霊は俺だけにしか見えてない
そして夜だけしか見えてないせいか俺が見えてる事に一切気づいてないみたいだった
見えてる見えてない以前にこの幽霊はなぜか俺の側から離れる気配はなく
日が沈むとふよふよ浮きながら俺をじっと見ていた
(クソッ、幽霊なんて……どう対処すればいいんだ?)
と最初は思っていた
けど
こいつはいつも目をキラキラ輝かせながら俺をみていた
おそらく昼間サボやルフィと過ごしてる姿すらこいつはいつも眺めていると確信した
(そうか…お前も俺たちみたいに自由に冒険したいんだな)
サボが先に海出た
そしてサボは天竜人に殺された
サボが乗った船が天竜人の乗る船を横切っただけで沈められた
サボが遺した手紙を読み
あの時、力ずくでもサボを引き留めていればと俺は悔いたし泣いたことも覚えている
だから俺は落ち込むルフィに言ってやった
「絶対死なない」って
その日の夜は月明かりの影響かなんなのかわかんなかったがお前の顔が少し半透明じゃないように見えた
その表情は今にも泣くんじゃないかって思うほど悲しげな表情をしていた
「絶対…死なないからな」
ボソリと呟いた言葉、お前にはおそらく俺自身に言い聞かせてると思っているだろうけど
これはお前に対しての宣言
だから…お前までそんな顔をするなよ
17になった俺は海に出た
もちろん幽霊のあいつもついてきた
けれど悪い感じはしなかった
17になってからか昼間でたまにこいつが見えるようになったからだ
そして俺は脱出不可能な無人島【シクシス】で遭難
あいつは苦笑いを浮かべていたが少し楽しそうな表情を浮かべていた
そこで俺ははじめての仲間、デュースと出会いメラメラの実を食って炎人間になった
そしてデュースが造ったストライカーでシクシスから脱出できた
それから俺は情報屋のスカル
元教師のミハールなど仲間をたくさんつくり
【スペード海賊団】を旗揚げした
お前も初めてスペード海賊団の海賊旗みたとき無邪気に目を輝かせて
その夜片方の手の甲にスペードのマークにアルファベットのAの入ったダサめ刺青いれるとは
しかもAって俺の名前からとっただろ
まったく、こいつどれだけ俺が好きなんだよ
まぁこんな熱烈に船長を慕う船員がいてもいいと思った
それに海賊に幽霊船員がいてもおかしくはないだろ?
そこからいろいろあったな
偉大なる船路【グランドライン】に入ってから
女海兵のイスカに追われたり
七武海への介入の誘いがあったり(まぁ断ったが)
ワノ国に漂流したりしたな
そこでお玉たちに出会ったり
カイドウの娘のヤマトと戦ったり、共闘したり、一緒に酒を飲んだりもした
あいつは酒を酌み交わしてる俺とヤマトを見て少々不機嫌そうな表情をしてたな
(もしかしてヤマトに嫉妬してるのか?)なんて思っていたらふと思った
(そういえば…こいつ名前あるのか?)
幽霊に名前なんてどうかしてるが
こいつも俺の仲間には変わりはない
だからワノ国を出航したあと俺はあいつの名前を考えた
デュースの時は適当につけたからあいつも適当にと思ったが
3を意味するトレイも4を意味するケイトもしっくりこなかった
字の読み書きは出来るが元々学が無いからな俺は…
そんときふと思い出したことがあった
昔、ルフィとサボと過ごした時のことだ
いつもすぐ寝るルフィが珍しく眠れないと駄々をこねた夜が一度だけあった
そんときサボが寝物語を読み聞かせてくれたんだよな
育ちの良い家の少女が夢の世界で冒険する話
サボの両親含む貴族たちからはこの話は下らないと批判されているがサボ自身は好きな話と言っていたな
最後は主人公の少女が現実で冒険に出るんだよな
たしか主人公の名前は……
「決めた…お前の名前」
俺はペンと紙を持ってそいつの名前を書いた
俺の大事な幽霊船員【ゴーストクルー】の名前を
俺は弟のルフィの恩人赤髪のシャンクスと出会った
そいつからロジャーの好敵手である白ひげ「エドワード・ニューゲート」の話を聞き
白ひげに戦いを挑み…そして負けた
まぁその前に「タイヨウの海賊団」のジンベエと5日ほど戦ったのがよくなかったと最初は思い何度も白ひげを殺そうとしたが、何度も返り討ちにあった
そして俺は白ひげに勧誘された
最初は受け入れられなかった、だけど白ひげの姿を見てるとマルコたちがなんであの人を慕うのかなんとなく心の奥底でわかってたんだ
だからマルコに聞いたんだ
「どうして親父と呼ぶのか」って
そしたらマルコ
「俺たちを息子と呼んでくれるから」って答えてくれた
あぁこの人だったらこんな俺を【息子】って思ってくれるのかって少し救われた気がしたんだ
だから俺は白ひげ海賊団に入りエドワード・ニューゲートを【親父】と呼ぶようになった
まぁあいつは最初少し不服そうな表情をしてたがだんだん親父やマルコ、他の船員たちと過ごす俺を見てよく笑うようになってたな
俺が白ひげ海賊団二番隊隊長になってもあいつの手の甲のスペードはかわることはなかった
本当、あいつ俺のこと好きすぎるだろ…
仲間のサッチが殺された
それも同じ仲間だったはずの男ティーチに
俺はティーチが許せなかった
だから俺はティーチを一人で追いかけたが
案の定あいつもついてきた
まぁ幽霊だからあいつに危険は及ばねえと思うが
あんまりいい気はしなかった
ティーチを追いかける途中アラバスタでルフィに再会した
再会したルフィにはたくさんの仲間がいて俺は安心した
つい出来の悪い弟なんて言っちまったがルフィは
必ず高みに登ってこれる、絶対でかいことを成し遂げる最高の弟だ
まぁ恥ずかしいからさすがに本人には絶対言わねえがたぶんあいつには気づかれてるんだろうなと思いながら嬉しそうにルフィに手を振るあいつを見ていた
紆余曲折あったがやっとティーチ、いや黒ひげにたどりつき
戦った
そして負けた
俺は海軍に引き渡されて身体をボロボロに痛め付けられインペルダウンレベル6に収容された
血と鉄さびの臭いが鼻につくなか
触れられないのに
お前は俺をつなぐ海楼石の鎖を頑張って外そうとしてたな
お前は俺のそばにいる理由なんてない
幽霊だから牢獄もすぐに出れる
なのにお前は俺のそばから全然離れようとしなかった
もう俺とずっといてもお前が苦しいだけなのに
そして俺は
処刑されることが決まった
俺は処刑の日…マリンフォードに搬送されたときから
あいつの姿が見えなくなった
あの世に戻ったのか、俺が見えなくなっただけなのかわからなかったけど
あの世に戻ったのだったのならこれから起きることをあいつが見ないことに少し安心してしまった
それから親父たちやルフィが俺を助けに来た
繋がれた錠も外された
けど俺は親父をバカにした赤犬が許せなかった
その結果がルフィを危険さらした
そして赤犬がルフィにトドメを刺そうとしたから
俺はルフィを庇いマグマに貫かれた
あぁこれは……助からないな
ルフィ…親父……みんな…ごめんな…
助けに来てくれたのに……こんな…結果になっちまって
でも
「鬼の血を引くこの俺を……愛してくれて……ありがとう!!!」
霞む視界のなかあいつがたっているのが見えた
あいつは今にも泣きそうに俺を見ていた
お前まで泣くなよ…やっと……お前と一緒になれたんだ
少しは喜んでくれよ……
死んだ俺はあの世の手続きとかを終えてやっとあの世に来た
あいつに会ったら見えていたこととか色々話したいことがあった
けどふたたび会ったあいつは変わっていた
「初めまして……ポートガス・D・エースさん
ようこそ、黄泉の国へ」
不気味な仮面を身に付け片手に革手袋をしていたあいつ
仮面越しでもわかるなにも感じない愛想笑いを浮かべてるのを感じた
お前 どうしちまったんだよ