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髪立ててサングラスかけて、ステージ衣装着て白斗みたいな恰好で待ち合わせに行ったら、どんなふうに驚くのかな。RBは未だに好きと言っていたから、俺が白斗だと知ったらどんな反応をするのか。


驚くのか感激するのか――想像するだけで楽しくなった。

こんな楽しい気分になったのも初めて。

空色は俺の未知数な部分をいとも簡単に引き出していく。


傍に寄り添えたらどんなに幸せか……。


絶対に叶わない夢を見ては、ひとりきりで長く過ごしてきた。淋しさを紛らわすため、想い馳せながらピアノを弾いてみる。

今日はデートの約束があるから明るい曲調になった。浮かんでくるメロディーが陽気だ。陰気な曲にはならない。


今までの俺になかった歌やメロディーが流れ、形となって表れる。

誰か別人の曲を弾いているかのように明るいメジャーキーの曲。


今日のデートを想像してみた。待ち合わせは三宮。仕事の無い俺の方が待ち合わせに早く着くから、きっと空色の方が俺を待たせたら悪いと息を切らせて走ってくる。

ごめんねって謝りながら彼女がはにかむ。可愛い笑顔に思わずキスをしたくなる――

まるで、ポップスの歌詞やな。

普通の男女が恋愛するみたいな歌なんか作ったことなかったけれど、意外にできるんや。

経験が無かったから想像ができなかっただけ。


俺みたない男でも、出会う人によって変われるんやな。空色を好きになったこの気持ちは、俺の中で宝物みたいに輝き続ける。それがたとえ実らない恋だとしても。


もう空色に会わなかったらよかったと思わなくなった。

勝手に恋慕しているだけなら誰にも迷惑はかけない。絶対黙っているし、空色夫婦の家が建つまで。それまではお前のこと好きでいたい。

担当を終えたらもう会うこともなくなるし、きちんと諦められる。


それまでの間だけ、夢を見させてくれ。


想像だけでいい。お前と恋人になりたいなんて罪深いことは考えていないから。

空色のことを考えるだけで、あれだけ枯渇だった俺の中が音で溢れてくる。

まるで息を吹き返した自然の如く、奥底から湧き出る泉のように。



ありがとう。

お前はいつも俺を救ってくれる。

なにもしなくても、空色の存在が俺に色をくれる。



俺もいつか空色のように

暗く沈み、色を失った誰かの為に

ただ、存在しているだけで

心に明るい色を付けられるような





そんな男になれたらいいな――











俺は空色とのデートが楽しみ過ぎて、着る服を結構悩んでかなり前から待ち合わせ場所でスタンバイしていた。あまりに早く着きすぎたので、雑貨屋に入って彼女になにかプレゼントできるようなものがないか探した。

一角にガラス細工のコーナーがあり、様々な商品を展示してあった。その中で空色の飴細工のようなビー玉のストラップ付キーホルダーが目についた。

綺麗や。

手に取って見ると、ビー玉の中は複雑な模様が幾つも織り重なっているようで、不思議な空間を覗いているみたいに見えた。気に入ったので購入した。いつか空色に渡せるように、と。


再び外に出た。時計を見ると待ち合わせにちょうどいい時間やった。

その場で少し待つと、空色が雑踏の中を走ってきてくれた。お待たせしてごめんなさい、と俺に頭を下げてくれた。


「私が勝手に早めに来ただけで、律さんは遅れていませんよ。謝らないでください」


そう言って、彼女を見た。

ほんのり上気した頬、桜色の可愛い唇。切れ長の大き目の瞳に、美しく長い黒髪。

走って来たから隆起した胸のふくらみが上下している。大きなバストを押さえつけている幾何学模様のプリントチュニックがそのせいで揺れた。

相変わらずスリムなボトムスが良く似合う。モデルみたいに綺麗で美しい。

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