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この日記が、誰かに読まれることがあるのだろうか。──仮に誰かが読むとしても、私の胸中を正確に理解できる者がどれだけいるだろう。
今日、フランスの子供たちが、全員死んだ。
私たちが命をかけて守ろうとした未来が、空の上で燃え尽きた。
欧州バイオテロ事件の犯人が明らかになり──よりにもよって、“ワイミーズハウス出身”。
その名はZ。
我が子のように育てた者が、我が家を地獄に変えてしまった。
多大なる被害に、私の精神も、Lの精神も限界を超えている。
こんなもの、どうしたって報われない。
こんな未来を、私は望んだのか──
地獄とはまさにこのことだ。
目の前にいるLが、日に日に壊れていく。
私すら、もはや彼の部屋には入れなくなった。
Lは、ずっとあの《両親の影》の前から離れようとしない。
Lが何を見ているのか、何を思っているのか、それを私は、聞けずにいる。
いや──聞く資格が、私には残っていないのかもしれない。
私の作ろうとしていたものが、全て砕け散ってしまった。Lのような子供たちを、世界に散らばらせて、どこかで何かを救う希望の“種”に──なると信じて、あの家を築いた。
……だが、違った。
あの家は、種ではなく、業を育てていた。
子供たちは、救い手である前に、歪だったのかもしれない。
こんなことになるなら──
ワイミーズハウスを作らなければよかった。
そんな、後悔すら湧いてくる。
全ての責任は、私にある。
Lが壊れてしまったことも、Aが立ち直れなくなったことも、Zが殺人犯になったことも──
その根を育てたのは、私なのだ。
けれど、今日この時。
Lがいなければ、アメリカとイギリスは、最悪の関係に陥っていただろう。
Lが居れば、世界が救える。
それは、もう疑いようがない事実。
だが同時に、Lが世界を救うために払っている“犠牲”を、私はどこまで見逃していいのか。
Lが殺してきたものは、敵だけではなかった。
子供たち。
仲間たち。
自分自身。
そして──“正義”そのものすらも。
私はこれ以上、彼の行動を、認めていいのだろうか。
それとも。
これは私が、最初に選んだ“道”の果てなのか。
『L』──
この名を、今日ほど呪った日はない。