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🐸「うっっっっっっわ……」
🧸「ほんまに嫌そうな声出てるww」
🐸「嫌っていうかね、腹が立つ。」
🍄「腹が立つwww」
果たして千流がどうしてこうなっているのか。その理由は簡単である。
有兎家の日めくりカレンダーには2月14日と書かれている。そう、今日はバレンタイン。この日は有兎家でも戦争が起こる。
帰ってきた陽桜と文悟は両手に2つ3つずつほど紙袋を掛け、そのいずれからも綺麗な包装紙が顔を出している。
🦂「重たーい……チルにぃちょっと手伝ってや〜」
🦩「俺のも手伝って〜、あえじくーん?」
こんなふうに帰ってきた二人を見て、冒頭の千流の言葉である。
🐸「あんたたち相変わらず貰ってくるねぇ……」
🦂「いやほんとに、大変。」
🦩「おかしいんよな、なんで俺らにチョコ渡す時間が設けられてんの、しかも前後1日ずつ。」
🍄「一大イベントやからね。そらカフェ側も用意するやろ。お客さん増えるし。」
そんな話をしながら、リビングまで紙袋を運んでくる。まぁまぁな重さの紙袋が九つ。この二人はどこまでモテるのだと千流は大きくため息をつく。
🍬「え、ちなみにだけどさ。どれを誰からもらったとか覚えてるの?」
⚔️「それ覚えてたら怖いってこの量は」
🍬「例えば僕のクラスの花山ちゃんとか?今日渡すって意気込んでたけど」
🦂「花山ちゃんって花山理央ちゃん?ならこれだね」
🦩「きっしょ?!流石に俺わからんで?!」
🍬「あー、それやな……えぇ、こわ……フルネームも覚えてんの?こわ……」
🐸「すこぴょん、ほんとに記憶力どうなってんの?」
🦂「えー、いやなんか別に、覚えようとしたとかもないんよなぁ……」
🧸「よりきもいな」
陽桜の意外な才能に、兄弟全員が少し引き気味に陽桜を見る。そんなに覚えられているなら、モテるのも少し頷けるようなところもあるかもしれない。
陽桜と文悟の二人は、ここまででもわかった通りかなりモテる。他の兄弟たちもそこそこモテてはいるだろうが、この二人は頭一つくらい抜きん出てモテるのだ。
🍄「さそりお前、俺も覚えてないのに……」
🧸「その量で?!覚える気なさすぎるやろ」
🍄「あえちゃん?!」
🍬「なめちゃんww」
🍄「ぬこちゃんは覚えてんの?」
🍬「そりゃあねぇ、この量だし……」
🐸「悲しいねぇ」
🍬「チルにぃそれが一番刺さる……悲しい……」
高校生組3人が貰ったチョコの量はトントン。三人とも多くなく少なくもない。
ずっと家にいる千流と阿英の二人はもちろん0個である。
🍬「チルにぃさ、モテたい欲とかあんまないよね?」
🐸「ないこたないでしょうよそりゃあ。モテられるならモテたいよ?俺だって」
🧸「そりゃあねぇw」
🍄「あえちゃん?」
🧸「お前は黙っとけよほんま」
🍄「あえちゃん彼女とかいr((んぐ」
🧸「どしたんなめこ〜^^」
🍬「可哀想になめこくん……w」
相変わらず菜瑚芽は阿英に粘着しているが、阿英にいい感じに流されている。もうそれが日常なので、他の兄弟たちもツッコむようなことはしない。
陽桜と文悟が貰ったチョコから瑠羽斗が数個つまんで食べている。それを見た雅もクッキーやらチョコレートやらをパクパクと口に放っていく。
🦂「美味しい?」
⚔️「うん」
🍬「おいひーい。あ、これ絶対手作りや残しとこ」
🦂「手作りは流石に俺が食べるわw」
🍄「あーずるい俺も食べるー」
🐸「夜ご飯食べれるようにしときんね」
🍬「だいじょぶー!」
🐸「あんたには言ってない」
そんな話をしながらチョコを食べていれば、希那や泰、翔狗も帰ってきた。
袋が九つあったって、有兎家はぺろっと食べてしまう。そりゃあ家に十人もいるんだから。
こういうところが、大家族のいいところの一つかもしれない。自分の取り分が減るという意味では悪いところの可能性もあるが。
❄️「なんでさそりくんと文鳥はこんなにモテるの?」
🦩「俺に聞かれてもわからんよ。さそりくんはもうなんか、性格と顔やろ」
🧸「お前は顔だけやな」
🦩「は?なんてこと言うん???」
🍄「事実やろ……w」
🍬「まぁ、文鳥にぃの性格で好きなところはないね」
🦩「いじめやぁ〜!たいさんこれいじめや〜!」
🦔「文鳥にだっていいとこあるもんね」
🏋️「文鳥のその性格を好きな人もどっかにいるもんね」
🦩「しょーぐんさんギリフォローになってへん気する」
⚔️「顔がいいだけいいやん……」
🦩「ばとるくんちょっと悲しそうに言わんといて?」
文悟と陽桜が外で働く限り、毎年この日にはたくさんのチョコやクッキーを持って帰ってくることだろう。その度、兄弟たちの絆も深まっていくんだろう。
❄️「俺なんか誕生日プレゼントって渡されてるからね」
🦂「え、バレンタインじゃないよってこと?w」
❄️「何も言えんやん、誕生日プレゼントって言われたら……」
🍬「悲しいねきなちゃん……」
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