『期待』
kr視点
もう疲れた。
期待されるのも、裏切られるのも。
kr母『貴方は出来る子なのよ』
その言葉が、俺をどん底に叩き落とす。
できなかったら、もう俺は用済み。
たった2点下がっただけで軽蔑される。
kr母『どうしてできないのよ。』
kr母『貴方が出来ないせいで私が笑われるのよ』
そうしてまた、俺の中に青く痛々しいアザが増えていく。
nk「……大丈夫?」
kr「大丈夫。兄さんは?」
俺の仲間は唯一同じ境遇である兄、Nakamu。
nk「俺は今回100点だったから大丈夫だったけど、、」
kr「そっか。良かったね」
nk「ねぇ、俺もう耐えられないんだけど」
nk「抜け出さない?」
kr「何回言うのそれ。諦めたほうが早いよ」
兄さんは俺よりもこの罵倒を多く経験している。
だからこそ痛みは分かってくれる。
けど諦めが悪いから何回も同じ事を繰り返す。
俺も最初はそうだった。
始めて兄から『抜け出そう』と言われた時、名案だと思った。
でも実際は高い壁が何個もあるように抜け出すのはそう簡単ではなかった。
ベットに身体を倒し、目を瞑る。
同じような事を繰り返す毎日は飽きている。
机に向かって数字や文字を書くことも、同じ問題を繰り返し解くことも。
俺はただ、心が弾むような刺激を求めていた。
nk「外に出てみようよ」
kr「どうやって?」
kr「学校に行く事しか許されていない俺達が、休日の今日、どうやって外に出るっていうの?」
nk「お前諦め早いんだよ」
兄さんの目は光が宿っていた。
…きっと俺の目に光なんて宿っている訳がない。
nk「逃げ出したいって顔してるけど?」
kr「うるさい、」
nk「素直になればいいのに」
kr「1人で行けば良いじゃん」
nk「置いて行きたくない」
兄さんは俺の目の前まで怒りながら歩いてくる。
近くに来ると分かる俺と兄さんの身長差。
俺の方が身長は高いけど、兄さんは小柄で華奢だった。
おまけに愛嬌もあって、親戚から褒められて可愛がられるのはいつも兄さんだった。
その中に、苦笑いしかできない俺。
同じ境遇であるからこそ嫌いにはなれなかった。
でも心底、羨ましかった。
憎くて憎くて憎くて、大好きだった。
兄さんは俺の目の前でニコニコしていた。
nk「俺が生きたいって思うのは、お前と俺の事を1番に思ってくれる友達のおかげ!」
nk「いいか?勉強だけが全てじゃないんだぞ」
nk「この年から親なんかに左右されてどうする。もっと自分の意思で生きたいように生きろよ」
kr「…俺友達居ないから、」
nk「まーたそんな事言って、、」
kr「だったら、兄さんの友達紹介してよ、、」
nk「え、可愛い」
kr「うっさい黙れ」
他愛ない会話をしながら俺等はリビングへと階段を降りていった。
母は、お風呂に入っていた。
nk「風呂入る時間早くね?」
kr「どうせどっか遊びに行くんだろ」
nk「じゃあチャンスだな。遊びに行くぞ!」
兄さんは俺の手を引いて真っ直ぐに玄関へと進む。
ガチャと開いた扉から涼しく心地よい風が流れてきた。
そのまま兄さんに付いていくと1つの公園に着いた。
nk「俺いつもここで遊んでんの」
nk「きんとき達来るかな、、」
俺達が公園に着いてから約15分後。
サファイアのような澄んだ青色の目をした男の子と赤がよく似合う大きな身長の男の子がやってきた。
br「Nakamuだぁ~!!珍しいね!連絡もなしにここに居るの!」
kn「ホントだ。隣に居るのは、、お兄さん?」
br「あれ、?弟しかいないんじゃないの?」
nk「弟だわっ!!バカ!」
赤がよく似合う男の子は笑いを堪えているからか、小刻みに震えていて、澄んだ青色の目をしている男の子は苦笑いをしてこちらを向いていた。
その後赤がよく似合う男の子が目に溜まった涙を拭きながら名前を告げた。
br「僕はぶるーく!こっちがきんときねー」
kr「きりやんです。よろしくお願いします」
nk「お前自分で紹介してって言ったのに固くなりすぎね?笑」
kr「いや、ノリだし初対面だし、、笑」
kn「………」
ぶるーくさんが活発に話しかけてくれるのに比べてきんときさんはずっとこっちを見ている。
nk「まぁ、2人は俺等の家庭事情知ってるから何でも話していいよ」
kn「ごめんNakamu。きりやん借りていい?」
nk「怪我させないでね?俺のきりやんだから」
kr「お前の俺じゃない」
kn「まぁまぁ、笑」
そうして手を握られたまま俺等はブランコへ向かった。
座ってみると随分と年季が入っているようで鉄の錆びた匂いがした。
おまけに金属の音が響いて耳が痛かった。
kn「このブランコ大分古いけどね、、俺は好きだよ」
きんときさんの笑顔が一瞬で切なそうになる。
kn「きりやん、、無理してる?」
無理をしているか。
そう問いかけられただけなのに胸がズキンと苦しくなった。
kr「俺が、悪いの、、100点取れないから、、」
kn「じゃあ、きりやんの幸せって何?」
kr「テストで100点取って、母さんに迷惑がかからないこと、、?」
kn「それはね、幸せなんかじゃない。」
kn「ただ期待に応えようとしているだけだよ。」
kn「お母さんとちゃんと話し合ってみてほしい。もちろんNakamuも一緒にね。」
kn「Nakamuにも同じ事を言ったんだけど聞かなかったんだよ。」
あの兄さんが言う前に諦めてた?
本当は逃げ出したかったけど、心の在処を作ることでまだ笑顔を作っているのかもしれない。
自然と涙が溢れ落ちていた。
きんときさんは俺の肩にポンと手を置いてこう続けた。
kn「きりやんなら出来る。だってきりやんは出来る子でしょ?笑」
母さんと同じ『期待』であるはずなのに、きんときさんの言葉は全て光に包まれていた。
その言葉、表情、雰囲気に俺は釘付けだった。
凛と澄んだような目で笑いかけるきんときさんは美しかった。
kr「お願いがあります、、」
kr「もし、この関係が直れば俺と付き合ってくれませんか」
kn「ん!?」
kr「真っ直ぐで笑顔で美しい貴方を好きになりました。」
俺にできる最上級の笑顔できんときさんに笑いかける。
kn「っ、、///」
kn「はぁ、、///きりやん可愛いんだからさ?そういう笑顔もっと振りまけばいいの!!」
kr「いえ、俺からきんときさんへの『特別』で笑」
kn「あー可愛い。もう好きになっちゃうじゃん」
kn「俺案外Sだし、愛重いよ?」
kr「どんなきんときさんでも愛せる自信あります!」
kn「んじゃ、早く行ってきな笑」
kr「兄さん、家に帰ろう」
nk「何で?」
kr「母さんと話がしたい。」
nk「……そっか。 」
家に着いてから母さんと話をした。
勉強だけが全てになりたくないこと、
友達と笑ったり泣いたりしたいこと、
全て条件付きで許してくれないかという交渉。
母さんは泣いていた。
ひたすら謝って、泣いていた。
やっと、自由が手に入った。
今日は桜がヒラヒラ散っていて美しい日だった。
kn「きりやん、好きだよ」
kr「何回目?笑」
kn「愛重いって最初で言ったし。どんなきんときでも愛してくれるって言ったじゃん。見捨てるの?」
kr「なわけ。愛してるよきんとき」
俺達は桜で見えない場所で唇を触れ合った。
なーんか、意味わからん!!ボツ!!






