そのまま前回の続きです。
その後は、テレビをつけてどうでもいい事に突っ込んだり笑ったりしているうちに、だんだんと元貴のピリピリした雰囲気が和らいでいくのがわかった。
元貴はいつも全てを自分の中に抱え込んでしまって、それを他人に見せるのが苦手だ。だから精神的に不安定になりやすい。プライドも高いのでそれをほぐしてあげるのはとても気の使う作業だった。
元貴が本当に心許せる存在はそう多くない。
俺は元貴に一緒にいると安らげると言ってもらえるような存在になれればなぁと思っていた。
「………」
テレビを見て笑っていた元貴がフッと突然真顔になって一点を見つめる。
「…涼ちゃん。俺、最近全然寝れないんだ」
元貴がポツリとつぶやく。
「目を閉じると何かすごいものが襲いかかってくるような気がして寝るのが怖いんだ」
そう言いながら元貴の目からポロポロと涙が溢れる。
「元貴…」
俺はそっと元貴を抱きしめた。
「大丈夫だよ。俺は元貴の側にいるよ」
何も聞かず、ただ優しく頭を撫でてあげる。
「活動休止してたって何も変わらない。いつまでだって元貴を待ってるから…」
そう言うと、元貴は俺の肩に顔を埋めて声を殺して泣き出す。
俺はそんな元貴を抱きしめ、耳元で「大丈夫だよ」とつぶやきながら頭を撫で続けた。
しばらくそうしているとだんだんと元貴も落ち着いてきたのか涙も止まり、代わりに鼻をすする音が聞こえてきた。
そろそろと顔をあげた元貴の目元は泣き過ぎで少し腫れていて俺はちょっと笑ってしまう。
「…ねぇ、涼ちゃん。こっちにきて」
元貴はそんな俺の手を引っ張って寝室まで連れていき、ベッドの上に腰掛けさせる。
「涼ちゃん。お願いがあるんだ」
そう言いながら俺をギュッと抱きしめた後、元貴の顔が近づいてくる。
唇が重なり、そのままベッドに押し倒された。
えっ?
混乱している俺をよそに、元貴のキスはどんどん激しさをましていく。
「んっ…。あっ?」
元貴の手が俺の下半身に触れてきて、呆然となすがままになっていた俺は目を見開く。
「えっ?元貴?…どうして…」
「お願い、涼ちゃん。お願いだから涼ちゃんを抱かせて…」
そう真剣な目で俺を見つめながら、元貴の俺を触る手は止まる事はない。
「んっ、元貴。やめっ…」
下着の中に手を入れて直接すりあげられ、俺自身も反応して声が熱を帯びてくるのがわかる。
「涼ちゃん。涼ちゃん。お願いだから涼ちゃんをちょうだい」
そう言いながら俺を見つめてくる元貴の瞳は今まで見た事がないほど必死で、また泣きそうに歪んでいた。
俺は元貴の心の傷を見たような気がして抵抗する事ができなくなる。
そして、俺はそのまま元貴の勢いに流されてしまった…。
気を失っていた俺はフッと意識を取り戻し、しばらくボーっとしていた。まだなんだか混乱したままで頭の整理が追いつかない。
ただ、腰に感じる痛みと違和感が昨夜何が起きたのかを明確に主張してくる。
俺、元貴とエッチしちゃったんだ…。
男同士なのにどうしてこんな事になってしまったのだろう?
そう思いながら隣を見るとぐっすりと眠っている元貴がいた。
もう!人の気も知らないで!と口を尖らせる。
でも……確か全然寝れないって言ってたよなぁ。何かが襲ってくるような気がするって。
今の元貴は安心しきった子供のような顔で眠っている。
ごろりと寝返りをうってこちらを向いた元貴の手が無意識なのかギュッと俺の手を握りしめてきた。
「もう…。しょうがないなぁ」
俺は大きなため息をついた。
この元貴の無防備な姿は反則だ。何も文句を言えなくなる。
…後は元貴が起きてからの話しかな。
とりあえず今は眠れるだけゆっくり眠らせてあげようと、俺は元貴を起こさないように気をつけながらそっと頭を撫でてあげた。
涼ちゃん優しすぎ心広すぎ😭
どこで切っていいかわからずにめっちゃ長くなってしまいました。
コメント
2件
怒らずに起きるまで待ってあげる涼ちゃん好きー(՞っ ̫ _՞)♡ 今回も良すぎ