母さんに頼まれたものを買い終わり自身の買い物も済ませる。
待ちきれず、俺は公園の椅子に座って楽しみにしていた漫画を見る。
楽しみにしていたのは本日発売の東リべの最終巻だ。
このときを待っていた。
俺の推しカップルがようやく結婚して終わる。
素晴らしい。
俺は1人公園で大号泣である。
死んだみんなも生き返り、幸せすぎる終わりだ。
もう俺はこの瞬間死んでもいいかもしれない。
そんな事を思ったのがいけなかったのだろうか。
どこからか悲鳴が上がる。
咄嗟に振り向くとナイフを振り回し無差別に刺しまくっている男がいた。
非日常すぎて呆然としていると男と目が合った。
男は気持ち悪いほどの笑みを浮かべこちらへ向かってきた。
「はははっ!死ねやぁ!」
俺は普通の一般人、訓練された自衛官でも警察でもないのだ。
俺はあっという間に距離を詰められみぞおちを刺される。
痛い、痛い、痛い。
刺されるってこんな感じなのか、場地君よく中学生でこれ受けて泣かずに喋れたよな、凄すぎ。
あぁ、でも。
最期にたけひなの結婚式が見れてよかった。
最期の最期まで俺は東リべの事を考え、死んだ。
次に目が覚めた時、俺は4歳になっていた。
いわゆる転生と言うやつだろう。
今世の俺は大鳳天火(おおとり てんか)という名前になった。
ちょっとかっこよくね?
そしてさらに今世はあの!東リべの世界なのだ。
気づいたのは保育園に行く時に溝中の制服を着ている子達がいたのだ。
最初はコスプレかとも思ったが沢山の生徒とすれ違うたびに現実だと理解した。
この時の俺の心境は喜び半分不安半分だ。
大好きな作品に転生出来たのはすっごく嬉しいが刺された痛さを知っているからか喧嘩をしたいとは思わない。
この世界はヤンキーで溢れてるから喧嘩なんて日常だし、逆に喧嘩しない真面目な男子生徒の方が少ないのだ。
そんな世界で俺は真っ当に生きれるだろうか。
とりあえず俺は1人で身を守れるように何か習い事をしようと思う。
喧嘩ならボクシングとかなんだろうが絶対痛いので俺は某探偵アニメの空手ヒロインのようにかっこよく強い男になりたいと思う。
「ねぇ、母さん」
「ん?どうしたの?」
「俺、空手がやりたい!」
「え?」
そんな俺の言葉を聞いて母さんは顔を青くした。
「そ、そんな、あなたには音楽を習わせようとしたのに…」
「え?」
どうやら母さんは俺に空手ではなく音楽をやらせたかったらしい。
そういえばよくおもちゃのピアノやヴァイオリンを持ってきていたな。
結構楽しかった記憶がある。
「そっか、俺音楽も好きだよ、特にピアノとヴァイオリン」
「ほ、ほんと?!」
「う、うん、だから両方やりたいなぁ」
「もちろんいいわ!すぐ連絡するわね」
そういい母さんは電話にすっとんで行った。
なんか期待強すぎて毒親とかになったらどうしよう。
まぁその時はその時か。
俺はこの瞬間東リべの人物としてのストーリーが始まった。
大鳳天火(おおとり てんか)
男主
武道達より5歳年上の高校2年生になる予定
髪は黒、毛先に向かって赤のメッシュ
ピアスは赤の小さいヤツ一つだけ
喧嘩をしない為に強そうなイメージしてる
形から入るタイプ、母には激褒めされ父には卒倒される。