つづき
ーまだ仲間だと信じているようじゃないか、、
読唇術。
私は其れを使うことに対してなんとも思っていなかった。
だから、初めてだった。
自分の観察力や頭脳に対してこれだけの嫌悪を抱いたのは。
敦《あっ谷崎さん、これお願いします、。》
谷崎《分かった、。、、敦くん。》
敦《はい。なんでしょう?》
谷崎《やっぱり静かだね、。》
敦《ッそうですね、、、国木田さんに負担が掛かっているとばかり考えていたけど、あの人は探偵社に必要不可欠になっていたみたいです、。》
谷崎《そうだね、。いつの間にか太宰さんが居ないと暗くなってしまう環境になってたんだな。》
敦《太宰さんは僕の心からの恩人です、。何時も明るく気軽に接してくれた、。》
谷崎《あの騒がしさが懐かしいな。》
2人は寂しく微笑んだ。
太宰「ッ、」
2人がそう言ったのが見えてしまった。
2人は、、
━━━━━探偵社はまだ私を信用してくれている?
太宰「ッあ、、」
辞めて呉れ、
辞めて呉れ給えよ、!!
太宰「決心が揺らいでしまう、」
中也「おい、大丈夫かよ、?」
後ろにずっといたらしい中也が話しかけた。
其の声のおかげで我に返る。
咄嗟に理由を考え頭を巡らせる。
太宰「あ、いや、探偵社が見えるんだなって」
いい考えはでてこず、我ながら苦しい言い訳だ。
でも中也は察したのか、
中也「おーおーそうか。」
それだけ言った。
中也「直ぐに提出しないけねェ書類があるんだ。後でいいから来いよ。」
カツカツと中也の靴音が遠のいていく。
後ろにいた為中也がどんな表情で居たのか分からなかったが、
太宰「お人好しなんだなぁ、」
中也の声から、呆れの感情は汲み取れなかった。
汲み取れたのは、
悲しみでも哀れみでもない。
何時も通りに接していたという事だった。
つまり中也は私に大きな負担がかからないように何時もと全く態度をとり、1人にしてくれた。
そう考えるとさっきの探偵社のことなんかどうでも良くなってきて、気分も明るくなったからか、
中也の後について行った。
姿は既に見えなかったが。
´ー` )ノ🚪ガチャ
中也の居るはずの扉を開ける。
中也「よォ。随分と早かったな。」
太宰「気分が良くなった岳。早かったって、何かしようとでもしてたのかい?」
少し煽り気味に発言する。何時も通りに。
中也「ンな訳ねェだろ。書類纏めて先やってた岳だ。」
太宰「ふうん。楢善いけど。」
中也が座っている椅子の正面に椅子を置き座る。
前を見ると中也がすぐに見える。
真剣に書類とにらめっこしているようで面白かった。
中也「あ、そうだ太宰。」
不意に声を掛けてきた。
太宰「なぁぁぁぁに?」
明るく言ってやった。なんだか面白くて楽しかったから。
中也が云ったのは顔に合う様な真面目っぽい話だった。
中也「その服、変えるか?」
そう。今は着替えもにもしていない。云わば外にでりゃ[探偵社員の太宰治]と見られる。
私が疑われているとかも知らずに。
だが私はこの服でマフィアの仕事もしたくないし、
マフィアの黒ずくめな場所じゃ目立ってしまうものだから、
太宰「変えようか。」
そう云った。
そしたら中也は顰めっ面之儘左手を突き出して指さした。
先には紙袋。
中也「そこに黒の服が詰めてある。何種類かあるから好きなやつでも選べ。」
どうやら準備は満タンらしい。
私が窓を見つめる数十分まえに買いに行ったと聞いた。
私はそれなりに大きい紙袋を手に取って中身を見てみた。
中は予想通り真っ黒で、カッターシャツまで入っていた。
あとは、包帯等。
中也「包帯は好きに巻いとけ。外套も何種類かある。そん中から選んどいてくれ。」
中也なりの優しさだろうか。
私は1式文の服を手に取り準備満タンな着替え室に入った。
太宰「ちゃんと大きさ迄ピッタリとか、、」
靴の大きさまで合っていたのは秘密。
私は少し引きながらもカーテンを開いた。
太宰「中也。着替えたよ。めっちゃピッタリで怖いんだけれども。」
中也「おう。サイズは調べたら出てきた。」
中也がこちらを見る、
中也「、、」
少しの沈黙。
中也「”まだ”似合ってんな。」
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