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「あぁ、ユリア、ここにいたのですか、探しましたよ」
「カイル?ふふふ、どうかしたの?きゃぁ」
窓辺にあるソファーで寛いでいると、血相を変えたカイルが室内に飛び込んでくる。
私の姿を捉えると一目散に飛びつくようにぎゅうっと強く抱きしめられた。
「ど、どうしたの?ちょっと紅茶を飲んでいただけよ」
「これからはどこにいるのか逐一報告してください」
少し掠れた声と吐息が耳に入ってくる。
その様子からかなり心配をかけてしまったのだと反省する。
カイルの背中に手を回して「家の中なのに?」と安心させるように明るく問いかける。
「んん⁉︎」
すると、ぐるんと視界が反転したかと思うと、カイルの膝に乗せられて、唇を塞がれていた。
「家の中でもです。どの部屋にいるのか逐一私に、お願いですから」
「え、えぇ、分かったわ、カイルは心配性なのね。でも、レオナルド殿下やイリナがここに来るとも……思えない……カイル?」
あれ?なんだかひんやりしてきたわ。
カイルの膝に乗せられた状態なので、上から覗き込むようにカイルと視線を合わそうとする。
「ねぇ、カイル?少し瞳が……何か気に障るようなことを言ったかしら……」
「──」
「え?カイル、なんて言ったの?」
「ユリア、あなたの口からバカルド殿下のいや、もう廃嫡されたのだったな、バカルドという言葉が聞こえたからです」
「バ?ちょっと、カイル、いくらなんでもそんな呼び方はいけないわ。人を貶めるようなことをしてはだめでしょう?」
「散々、あいつらはユリアに酷いことをしたのに?あぁ、ユリア、あなたは優しいですね」
「んっ!ちょっ、カイル、まだ、こんな時間に…」
またしてもカイルにベッドへと連れ去られそうになるのを、なんとか制止しようと試みる。
「カイル、でも、お仕事は大丈夫なの?
カイルのような優秀な魔術師がいなくなって、今頃は混乱しているでしょうね、そう言えば、この国での私たちの立場はどうなっているの?」
「知りたいですか?」
どこかいたずらを仕掛ける前の子供のような無邪気な笑みを浮かべたカイルは、そっと私をソファーへと腰掛けさせる。
そして空間から花束を取り出すと、私の前に膝をつく。
「わぁ、きれい!私に?」
「ユリア、覚えていますか?あの時のこと。こうして、あなたにプロポーズをした」
「えぇ、覚えているわ。とっても嬉しかったもの。はにかみながら私に大きくなったら結婚しようと言ってくれたわね。かわいかったわ、あの時のカイル」
花束を受け取ると、指先に口づけを落とすカイル。
「カイル、ソファーに座らないの?」
「いえ、ここにいる方が都合がいいので」
「そ、そう?」
「今の、私たちの立場についてでしたね?そのことについて答えたいのは山々なのですが、その前に、あの時ユリアが私に言った言葉を覚えていますか? 間違えるたびに服を脱いでもらいます」
「え?えー?えぇ、えっと…もちろん覚えているわ」
「語彙力が崩壊していますよユリア」
「もちろん、喜んで……だったかしら?」
シュルシュルと胸元のリボンが解かれそうになったので、胸元をたぐりよせて「カイル!」ときつく呼びかける。
大きな花束なので胸の前に抱き寄せていると、ひょいっと花束を取り上げられる。
「ユリア、まさか覚えていないのですか?私は……ずっと……」
慈しむように見つめてくるカイルは、どこか寂しそうで、あの時言った言葉を必死に思いだそうとする。
あの頃は、とても嬉しくて、確か……。
「結婚しましょう……?って、だめ、本当に……」
じりじりと迫ってくるカイルをなんとか押し戻そうとしてもビクともしない。
「わざと間違えて楽しんでいるのですね?ユリア、悪いこですね」
「いじわる……」
抵抗を諦めてカイルに身を委ね、
二人は甘い昼を過ごした