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今日は仕事が休みで、朝からずっと溜まっていた用事をしながら過ごしていた。
1人暮らしの部屋で、1人でお昼ご飯。
ちょっと寂しい。
さっさとランチを済ませて食器を片付けてから、私は日課にしている日記を書いた。
~11月3日~
『今日は少し寒いかな。昨日の柊君、本当に情熱的だった。あんな風になる時もあるんだなって、ちょっとびっくりした。でも、私、柊君以上に熱くなってしまったかも。明日、会社で柊君に会うのちょっと恥ずかしいな』
ペンを置いて、そっとノートを閉じる。
柊君と付き合ったその日から書き始めた日記。今はもう3冊目になった。長い文章は苦手だから、思ったことをただ書くだけ。
それでも、私にとっては柊君との2年間が凝縮された1番大切な宝物だ。
ふと、1冊目の日記を手に取って1ページ目を開いてみた。
時々こうやって2人のいろんな思い出を振り返る。
真っ白な紙に黒いペンで書いてあるその文字を見ただけで、その当時の光景が鮮明に頭に浮かんだ。
2年前の12月3日――
それは絶対に忘れられない、特別で大切な日。
師走を迎え、街全体が慌ただしくなってきた頃だった。
都会の片隅に、印象的で大きなクリスマス・ツリーが飾られた広場があり、夜になると明かりが灯り、とても綺麗だった。
その隣のビルでは、プロジェクションマッピングが開催され、キラキラ輝くツリーと共に、たくさんの人の心を和ませていた。
柊君は、そんな夢のような場所に私を呼び出して言ってくれた。
『柚葉ちゃん、僕と付き合ってほしい。ずっと君のことが好きだったんだ』
嘘でしょ……?
その告白にものすごく驚いた。
水原 柊(みずはら しゅう)。
23歳でIT企業を立ち上げて成功を収めている若き社長。
頭脳明晰で、おまけに超がつくほどのイケメン。
鼻筋が通り、二重の瞳、優しくカーブした眉、少し潤んだ色気のある唇。
笑うとすごく可愛いところにいつもキュンとする。
髪は少し長めで、ナチュラルブラウン、軽いパーマをかけていて、ワックスを使ってエアリー感を出している。
28歳にしては少しだけ年齢より若く見えるかも知れないけど、見た目からは清潔感が溢れ、誰が見ても良い印象を受ける。
近くにいると必ず周りがざわつくような高身長でスタイル抜群の柊君が、こんな地味な私に告白してくれたことが信じられなくて、心臓が爆発しそうなくらいドキドキした。
だって、私は、柊君が社長を務める会社に入社した時から、ずっと目の前のこの人に片思いしてたから。
まるで夢を見ているような感覚に戸惑いながらも、私は嬉し過ぎてすぐに交際をOKした。
『こんな私で良ければ、よろしくお願いします』って。
柊君は恥ずかしそうにニコッと笑ってくれ、何ともいえないその笑顔にノックアウト寸前だった。
『ありがとう。良かった……嬉しいよ。僕は、柚葉ちゃんとずっと一緒にいたいんだ。これから、ずっと側にいてくれる?』