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3
―この子だけは、失いたくない―
(軽井沢恵 視点)
最初は、ただのクラスメイトだった。
小柄で、
少し人見知りで、
でも本の話になると目を輝かせる女の子。
天白ひな。
正直に言うと、
最初は少し心配だった。
この学校では、
目立たない子は埋もれてしまいやすい。
傷つきやすそうで、
放っておけない雰囲気もあった。
だから、
なんとなく気にかけるようになった。
一緒に昼食を食べたり、
他愛のない話をしたり。
最初はそんな小さな積み重ねだった。
でも、
気づけばそれが当たり前になっていた。
ひなは、
誰かを利用しようとしない。
損得で人を見ない。
嬉しいことがあれば素直に笑って、
悲しいことがあればすぐに表情に出る。
そんなまっすぐなところが、
とても眩しく見えた。
ある日、
私が少し落ち込んでいた時のことだった。
何も言っていないのに、
ひなはすぐに気づいた。
「恵ちゃん、今日は元気ない?」
その一言に、
思わず胸が熱くなった。
普段の私は、
周りに弱いところを見せない。
見せたくない。
でも、
ひなの前では、
不思議と肩の力が抜けた。
「……大丈夫だよ」
そう言った私に、
ひなは優しく笑った。
「そっか。でも、無理しないでね」
ただそれだけの言葉だった。
でも、
その言葉が心に深く残った。
この子は、
見返りなんて求めていない。
ただ、
私のことを大切に思ってくれている。
それがはっきりと分かった。
その瞬間、
胸の中でひとつの気持ちが生まれた。
この子だけは、失いたくない。
恋愛とは違う。
でも、
それと同じくらい大切な感情だった。
ひなが笑っていると、
私まで嬉しくなる。
ひなが落ち込んでいると、
放っておけなくなる。
ひなが幸せなら、
私も幸せだと思えた。
いつの間にか、
「友達」という言葉では足りなくなっていた。
「ひなは、私の親友だよ」
その言葉を口にした時、
ひなは目を丸くしたあと、
涙ぐみながら笑ってくれた。
その笑顔を見た瞬間、
私は確信した。
この子は、
私にとってかけがえのない存在だと。
未来に何が起こるのか、
この時の私は知らなかった。
嬉しいことも、
苦しいことも、
たくさん待っていることを。
それでも、
ひとつだけ確かなことがあった。
天白ひなは、
私が心から大切にしたいと思った、
初めての親友だった。🌸💜✨
コメント
1件
みぅです🤍🥀 「この子だけは、失いたくない」という軽井沢さんの気持ち、すごく伝わってきました。 物語の裏側でこんなに丁寧に紡がれた絆があったんだなって思うと、本編をもっと愛おしく読めそうです。 特に「見返りを求めない」っていうひなさんのまっすぐさが、軽井沢さんの心を動かしたんだろうな。 涙ぐみながら笑ったシーン、じんわりきました。大切な人に出会えた瞬間の尊さが詰まったエピソードでした🌸💜✨