「脱いで」
それから数十分後。車は高級住宅街に差しかかっていた。
まわりは 塀(へい)に囲まれた家ばかりで、そのうち一軒のシャッターが開く。
奥に手入れされた庭と、予想通りの豪邸が見え、玄関近くで車を止めた 川崎(かわさき)さんは、すぐに後部座席のドアを開けた。
「……着いた? 」
ようやく瞼を開けた 佐伯(さえき)は、あたりを見渡す。
「なんで家にきてんの」
「皓(ひかる)様、予約した店はキャンセルします。 今日はもうお休みください」
「あなた、すごい熱があるのよ」
川崎さんに合わせて口を挟めば、佐伯はほんの少し眉を動かした。
「…… なに、ばれたんだ」
(ばれたって……)
私は思わず川崎さんと顔を見合わせる。
「まさか、熱があるって気付いてたのに、食事に行こうとしてたの?」
佐伯はかすかに笑って目を伏せた。
それだけで、質問には答えない*******************
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