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内山昂輝:「……すみません、俺、そろそろ帰ります」
カフェを出た途端、内山は軽く頭を下げて、逃げるように背を向けた。
胸の奥がずっとザワついている。落ち着かない、わけがわからない。でも、ちゃんと向き合ったら、何かが変わってしまいそうで――
そんなときだった。
背中に、柔らかく、でもしっかりとした力で誰かの手が触れた。
入野自由:「……逃げるの、早くない?」
その声に内山の体がピクリと反応する。振り返らないまま、口を開く。
内山昂輝:「……逃げてるんじゃなくて、考える時間が欲しいだけです」
入野自由:「嘘。目、逸らしたままで言う台詞じゃないよ」
そう言って、背中から手がスルリと降りてきて、今度は袖口をそっとつままれる。
入野自由:「君が考える時間、もちろん待つよ。でも……その間、触れちゃダメってこと?」
内山昂輝:「っ、な……!」
驚いて振り向いた瞬間――
入野の顔が、思った以上に近かった。距離が近すぎて、呼吸がふいに乱れる。
入野自由:「内山ってさ……ちょっと触れただけで、すっごく可愛い反応するよね」
内山昂輝:「……っ、そういうの、ほんとやめて……」
顔が熱い。心臓の音が、自分でも気持ち悪いくらいにうるさい。
入野自由:「俺が触れたいのは、君の反応じゃなくて――“君そのもの”なんだけどな」
内山昂輝:「……!」
言葉を失って、ただ固まる内山。
けれどその瞳は、逃げられなくなった獣みたいに――微かに震えていた。