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『もう別れてくれ』
「なんで、、私、別れたくないよ」
『お願いだよッ、、俺だって辛いよ、』
「なんで貴方が辛いのよ、、なんにもしてくれないのに」
『家事はお前の仕事だろ?』
「また、、最初のときはお前なんかじゃなくて」
「ちゃんと名前で呼んでいたのに、今は、、」
『、、、はぁ、じゃあ俺のこと嫌いなのか?』
「嫌いよ!貴方なんか、」
『じゃあ別れてもいいだろッ!』
「嫌よ!どうしてそうなるのよ!それとこれは関係ないでしょ」
『お前は俺のこと嫌いなんだろ?ならそれで別れて終わりでいいじゃねぇかよ』
「はぁ、もうなんなのよ、、」
『ぁ゙あーもう意味わかんね、、』
2人の間に沈黙が流れていると、そこにある男性が声をかけてきた。
〚御二人さん、ちょっといいかな?〛
「なんですか?、」
〚私の店に来ないかい?〛
『なんだよ、、今それどころじゃねぇんだよ』
〚私のお店は、あの右に曲がったところにあるのだけれど御二人にお似合いのお花があるから〛
〚゛寄らない?゛〛
「お花?、、貴男、私たちの会話聞いていたでしょう? 」
「それどころじゃないのよ」
〚そうですか、、残念です〛
〚でも、最後に一つだけ〛
『なんだよ、、』
〚私は゛別れ花師゛です。どうぞお立ち寄りを、では〛
そう言い残すと、男はこの先に自身のお店があるという道を進んでいった。
『わかればなし、、どういう意味だ?』
「、、、」
2人の間には疑問が浮かんだ。更にそれと同時に男、そして店にも興味が湧いた。
『なぁ、』
「なによ、」
『行ってみるか』
「、、貴方も気になるの?」
『あぁ、少しだけだけどな』
そうして2人は男が言っていた道を進んだ。
『?、、これか、』
「多分、、」
思っていたより道は長く、あまり人目につかないような場所にそれは建っていた。
【別れ花師の花屋】
『わかれ、、ばなし、』
「、入りましょ」
『あ、あぁ』
2人は錆びついて開きにくく重い扉をこじ開けた。
ガラガラガラ
〚お待ちしておりました。私、此花屋の別れ花師と申します〛
男は短い自己紹介を済ませると、笑顔で2人を奥の部屋へと連れ出した。
『おぉ、』
「綺麗、、」
そこには、まんまと見惚れてしまうほど美しい花がずらりと並んでいた。
〚では、御二人に問います〛
「なんですか?」
〚貴女は彼のことが嫌いですね〛
「…はい」
〚では、貴男は彼女のことが嫌いですか〛
『……』
「、答えなさいよ」
『死ぬほど嫌いです』
「は?」
『ほんとの事だから』
「まぁ、いいわ」
「私もあんたなんか死ぬほど嫌いだから」
『あっそういえば俺好きな人できたから』
「はぁ?最初からそう言えよ」
『ふっ、別にいいだろ関係ねぇし』
「チッ…」
2人が言い合いをしていると、目の前にいる男が口を開いた。
〚しかし、御二人〛
〚相性抜群ですね〛
「なにいってんの?」
〚いえいえ、御二人は別れるのに、相性抜群だと言っているのです〛
それを聞いた2人は、少し驚いたような表情を見せた。
『やっぱ、貴男にもそう見えるんですね』
〚当然ですよ、別れ花師ですからね〛
『てか、さっきから別れ花師、別れ花師ってなんですかそれ?』
〚あぁ、ご説明していませんでしたね〛
〚別れ花師と言うのは、この世に1人、つまり私しかいなく〛
〚恋人同士の喧嘩や、争いを観察し、その人達に相性抜群なお花を提供するのです〛
『え?てことは、ただ花をあげるだけ?』
〚いえ、いや、まぁ単純に言えばそう言うことです 〛
〚しかし、それはただのお花屋さん。ここは別れ花を提供する店です〛
「別れ花、、じゃあ私達にも相性抜群な別れ花があるということ?」
〚そうです。今から持ってくるので少々お待ちください。〛
2人は、はい、と返事をし男を待っていた。
そして、気まずい雰囲気の中、男はある花を持って戻ってきた。
〚この花をどうぞ〛
「?なにこれ…」
『なんか、苺みてぇだな』
〚これは、桑{クワ}というお花です〛
『桑、ふーん、そんな花があるんすね』
「可愛いね、、、、」
『、、、、もう行くか』
「そうね、、ありがとう」
〚いいえ、あちらでも喧嘩してください〛
「ふふ、さようなら」
『じゃあな、ありがとよ』
男に2人は感謝すると、水蒸気のように消えていった。
〚可哀想に〛
〚まぁ、最終的に゛気づけて゛幸せそうだったから良いか〛
そうして、男はまた、相性抜群な2人を探しに行った。
〚見つけた。〛
〚御二人さん、ちょっといいかな?〛―――――
※桑{クワ} 花言葉
【ともに死のう―――――…心中】