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『―――…長寿人類特権の有効期限が切れました。これより先、渡来みくら様には101年前にタイムリープして頂き、14歳から人生をやり直して頂きます。なお、これは15歳の渡来みくら様が決定されたことですので、貴方の寿命は残り一年、中学校の卒業式までとなります。ご了承ください。』
「いや了承できるわけ無いだろーーーっっっ!!!!!」
はいどうも、再びお会いしましたね地球上の人類の皆さん。
意識が戻った瞬間に上記のことを無情に淡々と告げられた僕の気持ち分かる?
気づいたら14歳の頃のベッドで寝ててさ、「ここは何処?私は誰?」ってなってたらさ、さっきのことを言われたわけよ。脳内に。悲しいったらないわ〜、ガチでさぁ。流石に驚くでしょ。
しかもさ、115年間生きてきて一番辛かった一年間を、やり直せと?
そのあと改めて死んでくれと?いくら神でも許せませんよこれは。
神がやったのか知らないけど八つ当たりで神のせいにするし。
「はぁ、悲劇のヒロイン超えてるって、初期設定が。とりま、学校行くか…。みんなに会いたいなぁ…。会えるかな?まあせっかく戻ってきたし、楽しまなきゃ損、か」
4月7日。早咲きの桜が、少し散りかけている。
麗らかな春の陽気、新入生も入学式を終え、新しい学校生活が始まろうとしている。
しかし、僕、渡来みくらは、余命一年のピンチに晒されている…。
はいもうこの本当は楽しいはずの時期に言うことじゃない。現実逃避現実逃避…。
無理矢理顔を上げると、101年前に見慣れていた、大好きな6人の姿が映った。
「あ〜!お〜い、なかむ、ぶるーく、きりやん、きんちゃん、シャケ、スマさん!」
「あっ、みくら!やっほ~!」
「新学期早々元気だね〜」
「3人とも声でかい…」
「今年もよろしくね!」
「みくらおはよ〜」
「今年から中3だね」
この6人は、Nakamu、きりやん、シャークん、きんとき、Broooock、スマイル。
僕の幼馴染みで、僕にとっては家族のようなものだ。
僕らは、白尾学園中等部の3年生。
今日は、その最高学年生活の始まり、新学期最初の登校日だ。
まさか、この一年間をもう一度過ごす羽目になるとは…
まぁこうして皆に会えたんだから、せめて楽しく余命一年間を過ごすとしますか。
「…ってせっかく気合い入れたって言うのに、やっぱこうなんのか…」
このイケメンの幼馴染み達の周りには、不可抗力で取り巻きが出来てしまうらしい。
「え?みくらなんか言った?」
「いや別に俺らなんもしてないだろ」
「うん、普通に登校してるだけだよ〜」
「またみくらが心の中で自我と格闘してるんじゃない?」
「だったらそんな心配することじゃないね」
「早く行って入学式と始業式済ませようぜ」
ほーら、ホントこの人たちは全然人の話聞かないんだよ。
「お願いだから6人共そのキラキライケメンオーラを振りまかないで…」
「え、これいつも通りなんだけどダメ?」
「僕が浮いちゃうでしょ!」
「みくらは可愛いから大丈夫」
「どこが!?」
マジで僕のどこが可愛いんだよ。
「見て!ワイテルズの皆様よ!」
「新学期早々ワイテルズ見ちゃった!ラッキー!」
「やっぱりいつ見てもイケメンね!」
「それに比べて…いつも隣にいるあのブスは何なの?本当に鬱陶しいわ」
うん、本当にいつも通りだなぁ。
ワイテルズって呼ばれるこの6人が注目されるのも、僕が目の敵にされるのも。
僕も自分が凄い場違いな気がして、前に距離置こうとしたんだけどさ。
『幼馴染なのに、一緒に居たらダメなの?』っていうイケメンゼリフで一蹴されたしさ、もうこうやって色々言われたりいじめられるのは諦めてるんだけどさ、流石にさ、100年振りくらいに幼馴染に会えた瞬間にこういうこと言われんのは傷つくよね〜。
「…ら?お~い、みくら〜?」
「んぁえ?」
「なにその発音しがたいセリフ…」
「また面白いこと考えてたの〜?」
「もう入学式と始業式終わったけどまさか今まで意識無かった?」
「動きも受け答えも凄い曖昧だったもんな…」
「いつも通りすぎるだろ…」
まじかよん。え、時の流れ早くない?早送りされてない?せめて入学式は見たかった…。
「クラス替えは俺、みくら、スマ、シャケが2組で、ぶる、きり、きんが5組だったよ〜」
「せめて略すな」
「マジか〜、最後だし皆一緒が良かったな…」
「え、みくら高校一緒にしないの?」
「いつも俺達と一緒の学校だし、高校も一緒なのかと…」
「あっ、違う違う!中学最後だからってこと!」
あっぶな…僕が卒業したら死んじゃうことバレちゃうよ。
みんなには迷惑かけたくないし心配されても仕方ないことだから内緒にしとかんと…。
あ~あ、101年前の時はこの後も楽しく同じ高校行けたんだけどなぁ。
折角ここにタイムリープできたのに、一年経ったら死亡エンドはマジで嫌なんだけど。
まあ今まで115年も生き永らえれたことが既に結構凄いことだし。
そんな欲張ったら死後神様に怒られちまうわ。危ねえ危ねえ。
「よし帰ろう〜」
「え?授業無かったっけ?」
「ほんとに何も聞いてなかったんだ…」
「今日は入学式と始業式とクラス替えで終わりだよ」
「帰ったら7人でゲームしようぜ〜」
「いいねー。じゃあ今日は対戦ゲームやろう」
「じゃあきんとき敵ね」
「え、なんで??」
「よっしゃ全員ボコボコにするぜ!」
「みくら、対戦ゲームなんだから味方はボコさないでね?」
うん、やっぱり楽しい。
この6人と居るのは、独りぼっちで生きてた時よりもっとずっと楽しくて幸せだ。
この日々は、まだ失いたくないな。
…でも、なんで神様は100年以上も生きて、しかも過去にタイムリープできる権利をくれたんだろう。
僕なんかには、とても似つかわしくない権利だと思うんだけど。