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最近の康二は、変わった。
仕事が終わると、ついスマホを手に取る。
連絡先一覧の中にある“フカ”の文字。
押すか迷って、でも結局、連絡は向こうから来る。
《今日、空いてる?君に会いたいな》
スケジュールをすり抜けるように、康二はまたカフェへ。
店の奥、決まった席で、深澤が待っている。
💜「康二くん、今日はどれくらい疲れてる?」
🧡「…名前で呼ぶの、ズルない?」
💜「じゃあ、もっとズルくなるね」
深澤は、康二の顎を指先で持ち上げた。
💜「見て。今日はちゃんと、俺の目、見て話して?」
🧡「ふ、ふっか…」
💜「いい子」
そう言って、笑う。
その笑顔は優しいのに、言葉は命令に近い。
それなのに──嫌じゃない。
💜「アイドルって、孤独でしょ?」
🧡「……うん」
💜「俺が“誰よりもお前を知ってる”って思わせてあげるよ。
ファンでもマネージャーでもない、俺だけが、知ってる康二をさ」
背中にぞくりとしたものが走った。
アイドル・向井康二。
万人に見せる笑顔の裏で、初めて“個人”として見られている気がした。
🧡「ふかさん……俺、お前の前やと……なんか、おかしくなるわ」
💜「うん、どんどんおかしくなっていいよ。
だって俺、“壊すの”得意だから」
──その声は甘く、どこか狂気を含んでいた。