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スケジュールの合間、康二は無意識に“あの人”のことを考える。
深澤辰哉。
何者なのかは、未だによくわからない。
仕事も、家も、何も話してくれないくせに。
毎回、康二の心の奥を正確に突いてくる。
──この人といると、安心する。
でも、それ以上に怖い。
今夜も、店ではない場所で会うことになった。
💜「へえ、康二のほうから『会いたい』なんて、今日はずいぶん素直じゃん?」
🧡「……会いたかってん」
深澤の部屋。
シンプルだけどセンスのある内装。仄かに甘い香り。
でも、その空間の中で、ふっかの存在だけが際立つ。
💜「ほら、こっち。膝枕してあげよっか」
🧡「ふっかさん、俺さ……」
💜「ん?」
🧡「お前の前やと、何も考えられへん。
しんどい時も、嬉しい時も、誰より先に思い出すのが……お前やねん」
💜「……まだ、“好き”って言ってないよ?」
🧡「え?」
深澤は微笑みながら、康二の髪を指ですくう。
💜「でも、それでいい。
君が俺を好きかどうかなんて、どうでもいい。
“俺にしか頼れない”って、その状態が──いちばん、愛しいんだよ」
康二の心が、ずぶずぶと沈んでいく音がした。
もう誰にも見せたことのない感情を、深澤だけが引き出していく。
🧡「……俺、もう逃げられへんな」
💜「うん。
だからもっと見せてよ。君の全部。俺にだけ」
その囁きは、甘く、狂おしいほどの独占欲を帯びていた。