━━探索モード起動しました
埒が明かないので、周辺を散歩する事に決めた
幸いナナの生体反応は確認できた為、シャットダウンはしてないようだ
「にしてもすごい景色だね、あちこち廃墟だらけだよ。いつから人が居なくなったんだろう」
━━推定 45年間は、誰も訪れてはおりません
45年、半世紀近く人に触れてこなかった人工物はここまで廃れてしまうことを知る
それでも残り続ける数え切れないほどあるコンクリート製の団地は、人類の知恵と力の圧を感じる。
「勇気いるけど…中入ってみる?」
━━フラッシュライトを点灯します
「助かる」
「わぁ…?」
自分でも驚くほどにマヌケた声が出てしまい、思わず笑ってしまいそうになる
その景色を表すとするなら「臭い」が正しいだろう、嗅覚的な臭さではなく視覚的に感じる臭さというものだ。「臭そう」という思い込みで感じたのかは分からないが、なんとも惨い景色がそこには広がっていた
木製風の塗装が施されたその椅子は、人のいないこの場所を飽きて寝そべっているように見える
落ちた皿、酸化した食べ物の痕、武器と思われるプラスチック製の小さく細い棒、そして息を飲むほど綺麗に残っている骨、小さく散乱している骨の中から、私にセフトとの戦闘があったことを悟らせるかのように目立つ、刺された痕跡のある肋骨らしい1部を発見した。
「なんだか楽しいね、すごい新鮮、データでミたものとはまた違う楽しさがあるよ」
部屋で淋しく響いたその声は、ナナが側に居たあの頃の癖だと気付くのには時間がさほどかからなかった。
第3話「半世紀」
コメント
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待ってました!!!!!! この作品ワクワクがすごい、、、 読むだけで風景が分かるのすごい再現力ですよねほんとに、、次回も楽しみにしてます!!