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しばらく入院していたので、久しぶりの登校はドキドキする。
鬱)おはよう!
教室に入って大きな声で挨拶をしたが、誰もこちらを向かない。
鬱)シッマおはよう!
親友のコネシマに声をかけたけど、うつむいたまま、俺と目を合わせようとしない
その瞬間、俺は思い出した。集団無視だ。入院する前、Aくんを無視しよう、と誰かが言い出して集団無視が始まったことがあった。俺はそれが嫌で、やめよう、と提案したのだった。
その矛先が今度はきっと俺に向いたんだ。俺は落ち込んで席にすわった。でも、コネシマは時折チラチラと俺の方を見てくる。俺は小さく手を振って見たが、悲しい顔をしてすぐ目をそらすのだった。
次の日も、そのまた次の日も無視される日々が続いた。コネシマは1人、顔を覆って泣いていた。コネシマも辛いのかもしれない。でもここで俺と話したら、今度はコネシマが無視されるだろう。
無視されて4日目の朝、教室へ入ると俺の机の上に花が置かれていた。俺は怒りに震えた。悪ふざけが過ぎる!
鬱)もうやめて!
耐えきれなくなった俺は、クラスメイト全員の前で大声で叫んだ。
それでも、このくだらないイジメは続いた。
END
解説へ続きます。
クラスメイトは、どうしてここまで鬱のことを無視し続けるのでしょうか?
ここで自分がイジメの輪から抜けると、今度は自分がイジメのターゲットになってしまうから、それはしょうがないーーーわけではありません。
クラスメイトは、鬱を無視しているのではなく、本当に鬱の姿が見えていないのです。
入院し、長い闘病生活を送っていた鬱でしたが、残念ながら、つい数日前に、亡くなってしまいました。机の上の花はそのために置かれたものでした。
容態を知っていた親友のコネシマは、仲良くしていた鬱がいない机を見ながら、悲しみのあまり泣いていたのでした。
主人公がコネシマの気持ちを知る時は、自分の死を知る時でもあります。