テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
涼太 side
冷静になってよく考えてみれば、亮平のあの浮かれ具合からしても、翔太をからかっての事だったのだろうと思う。だからって看過できないが……
それにしても〝キスは嫌じゃなかった〟だなんて、正直すぎるにも程がある。俺とのキスはどうだったかなんて聞ける筈も無いのに…
悶々とした気持ちを抱えたまま掴んだ翔太の手は冷たくて、怯えるように左右に触れた青黒い瞳は幼い時となんら変わらない。それが、なぜだか嬉しくて少し安心した。
翔太💙『明日も会えますか?その先もずっと俺は涼太の隣に居たい、ただそれだけで構わないから』
涼太❤️『オマエどうした?』
翔太💙『翔太!オレは翔太だ!』
〝うるさいから早く入れよ💢〟グッと手を引いた瞬間、翔太の体が強張ったのが分かった。玄関ホールに片足を踏み入れたところで尚も踏ん張られ、負けじと引き寄せた拍子に、華奢な体がそのまま胸にぶつかってくる。
きつく抱きしめると、〝嫌だ〟という声が近くで震えた。それでも腕を緩められなくて、その抵抗に苛立ちが滲む。自分でも驚くほど強い声で、〝いい加減にしろ〟と吐き捨てていた。
次の瞬間、翔太の体から力が抜けた。腰を抜かしたようにへなへなと崩れ落ち、床に座り込む。その途端、堰を切ったように泣き出して、玄関に声が響いた。
翔太💙『お願いだから嫌いにならないでよ。涼太に嫌われたら俺生きてけない』
震える声でそう言った翔太は、ぎゅっと目を閉じた。大粒の涙が頰を伝った。
涼太❤️『嫌いになれないから困ってるんじゃ無いか』
泣き顔は反則だろ?
目を真っ赤にして、子どもみたいにぐしゃぐしゃな顔をして、それでも僕を見ようとする姿が健気で、不器用な翔太が必死に想いを届けようとしてくれているのが伝わった。
翔太💙『何でよ…こんなに好きなのにどうして俺の事好きになってくれないの!』
涼太❤️『コレって告白って奴でしょうか?最高に可愛い告白すぎてキュン死にしそうなんだが』
ずっと描いていた筋書きなんて、何の役にも立たなくて 突然、その瞬間はやって来た。
もっとロマンチックに、もっとエレガントに君への〝特別〟を伝えたい、そう思っていたのに。
ずっと言えずにいた〝好き〟を、まさか翔太の口から聞かされることになるなんて。
翔太は、ずっと俺の隣に居たいと言った。
この〝幼馴染〟という関係を断ちたくないと葛藤しながら吐き出したのだろう〝好き〟を前にして俺はもう君への感情を偽ることはできないだろう。
翔太は何度も瞬きをして、溢れる涙をこらえようとしていた。小さく息を吸うたびに喉が鳴る。その音さえやけに近くて、俺たちの距離を嫌でも意識させられる。
泣くときの癖も、声の裏返り方も、何も変わっていない。昔、転んで泣いていた時と同じ顔で、ただ違うのは、今は俺に恋をしているという事実だけだった。
ここで一線を越えたら、もう“幼馴染”ではいられない。
分かっているのに、逃げ道を探すみたいに視線を彷徨わせても、結局、翔太の赤い目に引き戻される。
泣かせたままなんて、とてもできない。翔太は俺にとって大事すぎる。
熱を出したあの夜も、そうだった。
窓の外の景色より、友人とのスキーよりも、ベッドの上で苦しそうに呼吸していた翔太の方が、ずっと気になった。
それを〝看病〟って言葉で誤魔化していただけで、あの時も俺は、君を選んだ。
翔太は袖で乱暴に涙を拭って、それでも赤い目のまま俺を睨むみたいに見上げた。
翔太💙『好きなのに……好きになってよ、バカ……』
声は震えて、語尾は掠れて、それでも必死にぶつけてくる。
……ああ、もうだめだ。
涼太❤️『バカだな。好き通り越して、愛してるんだけど?』
翔太は一瞬きょとんと目を瞬かせて、それからはっとしたように視線を逸らした。
翔太💙『あっ愛?……うっ嘘だそんな筈ない……揶揄うなんて酷い……もう帰る』
そう言って立ち上がろうとした翔太の手首を、反射みたいに掴んでいた。
〝待てよ〟
あの時のように、首筋に押し当てた俺の唇が、翔太の首をなぞる。
あの時と違うのは、熱に浮かされた温もりがないことと、音楽室の夕陽に照らされて赤く染まった身体から放たれる熱を感じられないことくらいで。
それでも、滑らかで綺麗な柔肌は、あの時と何も変わらなかった。
全く、どうしようもない。
好きだと告白したくせに、俺からの愛は嘘だなんて。
涼太❤️『俺のキスは嫌?しても構わない?』
翔太💙『本当に好き?俺だよ人違いじゃない?』
涼太❤️『人違いなら翔太も間違ってる事になるけど?俺で合ってる?』
優しく両手で俺の顔を覆った小さな手が、親指で愛おしそうに頰を撫でる。
ゆっくりと顔が寄せられて、翔太の涙が俺の頰を濡らした。
そして、二人の唇が重なった。
翔太💙『涼太で合ってる///見てるずっとずっとだよ君しか見えない大好き涼太……』
コメント
4件
いつもいつも、ぶべー😭😭って泣いてて、恋に一生懸命で自信がないしょぴ💙可愛い
