私達には分からない何かが、彼等の中で起こっている。
しかし、それは確実に彼等の命を削っていた。
そして、死期を悟った彼等は、最後の時を迎える為に自分達の城へと帰っていったのだ……
――――――
「おい!こっちにもいたぞ!」
「早く捕まえろ!」
どうしてこんなことになったのか。僕は必死に逃げながら考えていた。
今日はいつも通り学校に行って授業を受けて帰るだけのはずだった。なのになぜ、今僕は追われてるんだろうか。
僕の名前は鈴木翔。普通の高校生だ。ただ一つ普通じゃないことと言えば、僕の背中に生えている真っ白な翼と頭に生えた小さな白い角があることだ。
これは生まれつきあったもので特に気にしていなかったけど、最近周りの人たちの反応が変わった。最初は変なものを見る目だったのが、最近では化け物を見るような目に変わっていった。
そんなことを思いながらも足を止めずに走り続ける。さっきまで一緒にいた友達はもういない。あいつらは先に逃げたからだ。
(くそっ!!なんで僕がこんな目に会わないといけないんだよ!!!)
内心は不安でしょうがないけれど、強気にふるまい続けるしかない人。
何かに対して強く怒りを抱いているけど、表には出さない人。
何かを強く憎んでいるけれど、決して手出しはできない人。
そんな人が発症しやすい。
『無知』という名の仮面を被ることでしか生きられない人間がいる。仮面の下は臆病な素顔を隠した、ただの小娘にすぎない。仮面を被った小娘の仮面は、やがて脆く崩れ去る時が来る。その時こそ、本当の自分を知ることになるのだ。
『孤独』という名の檻に閉じ込められた子供がいた。閉じ込めたのは親だったのか、それとも自分自身なのか。どちらにせよ、その子にとっての幸せとは一体なんなのだろか。