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「おい!鈴子!」
「拓哉!っやめて」
今度は弘美さんが声を荒げた
「夕べも言ったでしょう?これもプロセスの一つなんだから、今鈴ちゃんは退院してきたばっかりなんだから・・」
ガタガタ震える私を見て、兄がフッと怒りを静めた、そして少し間をおいてなるべく優しい声で言った
「・・・・悪かったな・・・僕たちはつい話の途中をすっとばして、一気にかたをつけたいと思ってしまう・・・ 」
「そうね・・・ごめんね鈴ちゃん 」
いつも偉そうにしている兄に一言で、態度を変えさせる弘美さんに私は驚いた
「安心していいのよ、弁護士という仕事上私は、あなたのような人を沢山見てきたの、あなたが本当の意味でこの問題を乗り越えるためにはちゃんと手順を踏まないといけないわ・・・これからはすべて私に任せて、どうしたいかゆっくり考えて 」
兄はまだ険しい顔をしていたが、反論はしなかった
そしてこの件は私のいない所で、ずいぶん二人で話し合ったのだろう、二人は目を見合わせて無言で会話をしていた
「さてっ・・・と!」
兄が膝をパシンッと叩いて立ち上がった
そんな小さな仕草にもビクビクしてしまう自分が嫌だった、それを見て兄がまた顔をしかめた
「僕は仕事に行ってくるよ」
部屋に戻り着替えて出てきた兄に弘美さんが、キスをし玄関まで見送りをする
私はその間ソファーにじっと座り、初めて突き付けられた離婚という言葉を、頭の中で何度も反芻して考えていた