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Dランク探索員としてキャリアをスタートさせた小坂莉子。
当初は探索員の基礎スキルである『ライトカッター』ですらまともに使えず、ツタに絡まって泣いたりと実にポンコツであった。
逆神六駆と共犯者同盟を結び、彼の弟子になってからもしばらくは「おっさん特有のノリ」に拒絶反応を示し、時には彼に対して腹パンをしたこともある。
だが、六駆のスパルタ指導は莉子に合っていたらしく、彼女は逆神流のスキルを少しずつ自分のものにしていった。
1番の転機はやはり逆神家三代が知恵を絞って生み出した『苺光閃』を習得した事だろう。
煌気総量を常人の何倍も秘めている莉子の才能を見抜いた六駆によって授けられたこのとんでもスキルは、莉子の探索員としてのレベルを一気に押し上げた。
時を同じくして、莉子はいつも自分を鍛えてくれるおっさんにハマる。
最初は親しみ。次は尊敬。
ここのステップアップは余りにも早く、多くの者を置き去りにした。
気付けば莉子は逆神六駆と言うおっさんを完全に好きになっており、その後はその愛をちょっと引くくらいのスピードで深めていく。
愛が深まるにつれて何故か実力も比例するように高まっていき、気付けば探索員としての実力も傑出するレベルになっていた。
「お金のために狂喜乱舞するおっさん」を見て「えへへへ。可愛いんだからぁ!」とヤベー感想を抱き始めた頃には既に手遅れであり、色々と手遅れになった頃には師匠が旦那になっており、その旦那に匹敵する力を秘めた立派な嫁に進化していた。
その彼女が、ついに覚醒を果たした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
アリナ・クロイツェルは混乱の中にいた。
自分の体から生み出される無限の煌気。
まさか、その所有権を奪われるなどと言う反則みたいなスキルの運用法を理解した時、彼女の混乱は晴れる。
次に訪れたのは、爽快な気分だった。
「これほど面白い事があるだろうか。妾の力を超えずとも、妾を打ち倒す方法を見せられるとは。生きる事とは、実に面白い」と彼女は痛感する。
アリナは高らかに笑った。
「あははははっ!! 莉子!! そなたの勝ちだ!! もはや、妾の煌気はコントロールできぬ!! このままであれば、1分も経たぬうちに妾は消え去るであろう!! ……楽しかったぞ!! そなたの言う、愛とやらはついぞ理解できなんだが!!」
勝負が決したと判断した莉子は、『苺光閃』の出力を止めた。
「これから知っていけばいいんですよぉ! アリナさんにだって、大切な人はいるじゃないですか!! パパ活だっていいんです!! よく考えたら、六駆くんだって中身は46……あ。もうすぐ47だぁ! ですから!! わたしたち、パパ活仲間ですよ!!」
良いシーンでちょいちょい無自覚におかしくなるのをヤメてください。莉子さん。
だが、アリナは柔らかく微笑む。
続けて、首を横に振る。
「妾にはもう時間がない。……それに、このスキルに撃たれる事も決まっておる。……もしかすると、完全に死ぬことができるかもしれんな。はははは!」
「ほえ? 何言ってるんですか!? もうスキルは停止してますから! アリナさんも煌気の放出をヤメてください!!」
そう。
莉子さんは「アリナには無尽蔵の煌気がある」と言う事は理解していても、「その煌気を自分の意思で止める事ができない」事は理解していなかった。
それをたった今理解する。
「えっ、えええええっ!? 大変!! なんでそんな大事なことをちゃんと言わないんですかぁ!!」
「……いや。察しておるのかと。……まあ、気にする必要はない。妾はそなたを本気で殺そうと思っておった。殺意を向ければ殺意を受けるのも道理。これは正当な戦いの幕引きである」
「そ、そんなぁ!! せっかくアリナさんも愛に目覚めたのに!! そんなのってないですよぉ!!」
「……うん。目覚めてはおらぬが。……そなたは優しい娘だな。あまり戦いには向いておらぬようだ。逆神と夫婦になれば、戦場からは身を引くが良い」
莉子さんは叫んだ。
せっかく分かり合えたかもしれない人間が、今まさに命を諦めている。
そんな事は認めたくない。
莉子さん、どんなに手遅れになっても心は清らかなままであった。
「ろ、六駆くぅぅぅん!! アリナさんを助けてあげてぇぇぇ!!」
目に涙を浮かべて助けを呼ぶ乙女の声。
これに応えられなくて、何が最強の男か。
背中から竜の翼を生やした男が猛スピードで上空を駆ける。
彼は来た。
アリナの前に立ちはだかり、超巨大な煌気の塊と対峙する。
「いやいやー! これは最後にまたとんでもない大仕事が!! でも、莉子! 安心して!! 莉子に悲しい思いはさせないからね!! それより、1人でよく頑張ったね! すごいよ!!」
両手を組んだ六駆は、煌気を溜める。
既に彼の煌気総量は莉子のそれよりもかなり減っていた。
それでも、彼は立ち向かう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ヤメよ。逆神。そなた、無駄死にするつもりか?」
「やだー。僕の1番嫌いな言葉じゃないですか、無駄って!! 死ぬ気もなければ無駄な行動もしませんよ!! ただ、自分の彼女の友達を助けるだけです!!」
「酔狂な事を……!! 状況が分かっておるのか!?」
「アリナさんの体からは絶えず煌気が出続けているんでしょう? だから、『苺光閃』の発現を止められない。とりあえず、急場をしのいだらアリナさんの事もどうにかしますので! ご安心ください!!」
アリナは思った。
「どうして状況を理解した上でこのような不条理を犯すのか」と。
そこに、もう1人ほど影が増える。
「アリナ様!! ご命令に背くことをお許しください!!」
「バニング!! そなた、せっかく拾った命を……!! 何をしておるか! 下がれ!!」
「できませぬ!! 1度失った命! つまり、アリナ様に頂いた命を私は既に失くしております! であれば、自分の意思を貫かせて頂く!! あなたを死なせはしない!!」
「……なんなのだ。そなたら。妾はもう、良いのだ。それなのにそのような事をされると……。……生きる事に未練が生まれてしまうではないか」
バニング・ミンガイルは10番ザール・スプリングと8番バッツ・ホワン・ロイから残った煌気を全て譲りうけて、再び戦場に舞い戻った。
満身創痍。半死半生。それどころか、さっきまでほぼ死んでいたのに。
何故か。
莉子さんに言わせれば、恐らく「愛」のためである。
「逆神! 私は少しでもこの煌気の塊を押し戻せば良いのだな!!」
「はい! お願いします! 復活したばかりで辛いと思いますけど!! あとの事は僕がどうにかしますんで!!」
「……ふっ。まったく、頼りになる男だな。逆神六駆!! ぬぅおぁああぁぁぁっ!!! 最後の一撃だ!! 『灰燼の豪閃』!!!」
バニングの拳から光線が伸びる。
事前に『苺光閃』の特性を六駆から聞いていたため、無属性の突貫力に優れたものをチョイス。
一瞬だが、煌気の塊に亀裂が走った。
その隙を六駆は見逃さない。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!! まずは!! 『極限吸収』!!!」
膨大な無限の煌気に対して、吸収属性を選んだ六駆くん。
当然だが、許容量を超えると彼の体が爆発四散する。
「反対の手からぁ!! 『蓋世・大竜砲』!!! 連射しますよ!! 限界が来るまで!!」
吸収した煌気を即座に極大スキルで消費する事で、六駆が中継地点の役割を果たし煌気を霧散させていく。
「よさぬか! それでは時間稼ぎにしかならぬ! 妾の命を奪わねば、もはや煌気は止まらぬのだ!! そなたの身が壊れるのが先ぞ!!」
「もちろん理解してます! 助っ人が来るまで頑張れば良いんで! もう数分くらいなら!!」
そう言って地上を見下ろす六駆。
そこにはいくつかの門が地面から生えていた。
そのうちの2つからは既に煌気反応があり、「さっすが! 呼んだらすぐ来る辺り、僕に似てすっごく几帳面!!」と満足そうに頷く六駆であった。
コメント
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うわぁぁぁ第499話読んだよぉ!!😭💕✨ 莉子ちゃんの覚醒シーンからアリナさんとの対話、そして六駆くんの登場まで、めっちゃ熱かった…!!「愛が実力を比例させる」って発想、好きすぎるよぉ!!最後の「助っ人が来るまで頑張る」って台詞で、次回が待ちきれなくなったよ〜!次の話も楽しみにしてるね!!🌸
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夜鐘
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裏五条
21,508
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