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まふゆと二人で学校に行くようになってから結構日付が経った。手を繋いで歩く程度はもう普通だ。なんならそれが染み込んでしまっている。
「そういえば、今日小学生から四つ葉のクローバーを貰ったよ」
「ええ……?」
「見る? 鞄の中に入ってるから」
と、足を止めて反対側に掛けられたスクールバッグを差し出してくる。意地でも手は離さないつもりなのか。別に繋いだまま手を動かしてもらっても構わないのだが。
スクールバッグを片手でちょっと苦労しながらあける。探す手間もかからず、一番上に置かれている四つ葉のクローバー。手に取ってくるくると回してみる。
「ほんとだ。結構形も綺麗ね」
「そうなんだ。いらないからあげるって言われたよ」
「……その子って男の子?」
「うん」
「朝顔の種の子は?」
「同じ子だったと思う。あんまり顔は覚えてないけど……」
「へぇ〜……」
もしかして、まふゆはその子に好かれているのではないだろうか。
「まふゆって小学生人気凄いんだね」
「人気……そうでもないと思うよ。その子、いらないってものを全部渡してきてゴミ箱みたいに私を扱うから」
「でも本物のゴミは渡してこないでしょ?」
「うーん……。流石にセミの抜け殻は貰わなかったけど」
「あはは、小学生っぽーい」
「小学生なんだよ」
その子絶対まふゆのこと好きじゃん。ゴミ箱扱いされてるって思ってるのは可哀想だし、ちょっと手助けしてあげよう。
「多分その子、まふゆのこと好きだから」
「え?」
「いらないって言ってるけど、素直になれなくてそういうこと言ってるだけ。自分の好きなものとかあげてるんじゃない? 喜んであげなよ」
「……絵名みたいだね」
「はっどのへんが!?」
「素直になれないところ」
「なぁ……っ!」
一々一言多い…!
「……っでも会いたいな、その子一体どんな顔してるんだろ。まふゆに好意全然気が付かれてないし」
「少し早く来て待っていれば会えると思うよ」
「うーん、そこまでじゃないなぁ」
まあ機会があったら見れるといいけど。面白そうだし。
「……別に絵名が一番だけど」
「は?」
「嫉妬してるんでしょ?」
「してないわよ! なんでそうなるのよ!」
「少女漫画で読んだから」
その浅はかな知識で私を語らないでほしい。
ムカつくから、強く手を握ってやろう。