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秋が過ぎ雪が降りそうな曇りに息を白くしながら事故現場を眺める、火事が起きたらしい。そばかすの鼻先に冷たく雪が落ちてきた、やはりと言った様に降りだした。
そばかす顔の記者、矢太郎は手袋を取り出し赤くなった手に着けた。火災現場には何故か、朱色の金魚が漂っていた。矢太郎は不思議だった、どう見ても事故にしか見えない。放火なのかと思ったが警察によると火の不始末と片付けられていた、矢太郎の目はある女性に向けられていた。どうやら女性は火災現場から逃げ出したが火傷を負っているらしい、しかし矢太郎が見ていた理由は違う理由だった。火傷の女性に金魚が漂っている、矢太郎は取材を兼ねて女性に話かけた。女性は婦警さんにしがみついて怯えていた、どうやら男性に恐怖しているようだ。矢太郎は腕に見えた痣…傷、婦警さんに伝え、少し強引に腕を見せてもらった。やはりどこかにぶつけた様な痣ではない、誰かに付けられたのだろう。それに加え、男性を怖がる様子よく見ると左手に指輪があった。多分だが旦那と思われる相手に暴力を振るわれたのだろう、しかしそれならなぜ女性に金魚が漂っている?疑問に思ったが答えは明白だった、旦那から逃げるために放火をした。矢太郎は婦警にこの事を伝えなかった、矢太郎は信頼している人に傷付けられる辛さを嫌と言う程わかる。
矢太郎の父親は酒を飲むと人が変わる、だが周りには良い父親ぶって八方美人していたので他人から見たら円満家族、で終わる話だ。
矢太郎は女性と自分を重ねていた、旦那の呪縛から解放されたのならそのまま幸せになればと勝手に決めていた。矢太郎は、帰り際にため息をつき空を睨んだ。
自分も父親から逃げるために上京し記者になった、やはり呪縛とは簡単に解けるわけなく未だに金を送れと文が来る。
矢太郎は目頭が熱くなる感覚があった。