この作品はいかがでしたか?
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今日から夏休み。
僕は憂鬱だった。
どうせすることがないから今日は散歩にでも行こうと思った。
ちなみにもう親はどこかに出掛けてて当分帰って来ないだろう。
ピーンポーン
玄関のチャイムの音だ。
誰だろう。
僕は「はい。」と言ってドアを開けた。
「初めまして、先日隣に引っ越してた七瀬と申します。」
と、女の人が言った。
お母さんだろうか、その後ろには僕と同じぐらいの歳の女の子とお父さんがいる。
「これ、つまらない物ですが。」
「あっ、ありがとうございます。」
僕は紙袋を受け取った。
「ここの家の…息子さんですよね?」
「はっ、はい。」
「お父さんとお母さんによろしく伝えておいてくれる?」
「分かりましたっ」
と、言っても親とは全然話さなくなってしまったから伝えられそうにない。
「それでは失礼しました。これからよろしくお願いします。」
「はい、わざわざありがとうございました。」
あの家族は帰っていった。
仲が良さそうで少し羨ましかった。
でもきっと僕の人生と幸せっていうのはきっと無縁だ。
こんな自分だから仕方のないこと。
ピーンポーン
また玄関のチャイムの音だ。
次は何だろう。
散歩に行こうと準備をしていた僕はやれやれ、と言うように玄関へ向かった。
ガチャ
ドアを開けるとさっきの女の子が立っていた。
「こんにちはっ!!」
彼女は明るい口調で言った。
とびきりの笑顔だった。
でも僕は同時にその笑顔が少し悲しくも見えた。
気のせいだっただろうか。
「こ、こんにちは。」
「初めましてっ!!!七瀬日笑ですっ!!」
「ひなた?」
「日笑って言います。君の名前は?」
「ゆきむら。」
「私は小学六年生っ!」
「えっ、えっと…ゆきむらさんは…?」
「六年生。」
同い年か。
「じゃあ仲良くしよっ!」
急に言われて僕は戸惑った。
僕は今まで嫌われていたから人と仲良くする、と言うことがあまりなかったからだ。
でもきっと、彼女も本当の僕に気がついたら僕のことを嫌いになると思う。
今までの人たちは全員こうだった。
「ねぇっ!海に行こうよ!!」
「えっ?」
最近で一番びっくりした。
「泳ぎに?」
「ううん、ちょっと見に行きたいと思ったからっ!!!」
相変わらずテンションが高い。
どうせ断れない、と思い僕はついていくことにした。
コメント
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日笑 ひなたってよむ。