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小型船が本艇に到着すると、大人達がわっと駆け寄ってきた。
「トウリ、無事でよかったわ! なにか怖い思いとかしていないわよね?!」
母親代わりのテレサが、ぼくをぎゅっと抱きしめる。
「ごめんなさい、トウリ。まさか脱出ポットの自動振り分けに誤作動が起きるなんて……、ひとりで怖かったわよね?」
「ぼく、怖くなかったよ!」
「そんな、無理して言わなくてもいいのよ!」
テレサはぼくぎゅっと抱きしめて、チークキスをした。目から涙が溢れて、美しい顔がぐちゃぐちゃだ。
テレサをなだめるように、船員のアレンが止める。
「テレサ、落ち着きなさい」
「だって! 私たちですら、あんな恐ろしい目にあったのよ」
テレサは引きつった顔で、大きな声で叫んだ。
その瞬間、大人達が顔を強ばらせる。
ぼくは恐ろしい目という言葉が気になって、つい聞いてしまった。
「恐ろしいってどんな目に遭ったの?」
体が大きくて、筋肉自慢の激しいアレンが体を震わせて呟いた。
「骨がひとりで動いて襲ってくるし、石が勝手に浮き上がって飛んできたんだよ」
「大きな獣みたいなのもいたわ、あれは狼かしら? それにしても二足歩行の狼なんて聞いたことがない」
「やっぱり、人類が地球へ戻ってくるには早すぎたのよ」
大人達はやっと帰ってきた地球の現状に落胆しているようだった。
でも、ぼくは少し地球が好きになった。
最初は怖かったユニが、ずっとぼくと一緒にいてくれたからだ。
そう言えば、どうしてユニはぼくの傍にいてくれたのだろう?
ぼくは失礼なことに、心のどこかでユニのことが怖いと感じていた。
別れる間際も一瞬怖いなと感じるなんて、ぼくはどうしてそんな思いを抱くのか自分を責めた。
ーー決めた! 大人になったら、地球へ戻ってくるーー
ーーもう一度、ユニに会いに行こう!ーー
ーーそうしたら、きっとこんな怖いという感情は消えるよねーー
ーーだって、ぼくたち”友達”なんだから!ーー