95日目
……ごめんね
奏
今日もホテルでのんびりするらしい。
…丁度、良い。
『……ねぇ、まふゆ、瑞希、屋上に来てくれない?』
「え、屋上に?…うん、良いけど……?」
「…何かあったの」
『あ、そういう訳じゃなくて…話したいことが、あって……絵名には話したんだけど…。』
「そうなの?…じゃ、行こっか!」
「……うん」
『……』
ごめんね、
ーーー
「それで、話って?」
『あー…その、やっぱり私は、、無理なんだって、』
「へ?無理…って……? 」
私は昨日絵名から貰ったプレゼントボックスの黄色のリボンをカッターで2つに切る。
「何してるの…?」
そして、まふゆと瑞希の手を無理矢理縛った。
2人が暴れたらカッターで手首辺りを少し切った。……もう、決めた事だから。
「ちょ、奏辞め__っ、痛…!!」
「っ……痛い、奏…辞めて、」
『……ごめんね、ごめんね…!』
2人を屋上の壁に押し付ける。
血のついたカッターを払う。
2人が暴れよう物なら脅したり。
それを繰り返してる内に、私の心は無と化した。苦しいとも、何も感じない。
ただ__生きたくないと思った。
「っ…何、する気……?」
瑞希はまふゆの前に立ち、鋭い眼差しで見つめる。
「……」
『…ただ、生きたくないだけ……』
『こんな事して、最低で…ごめんね。』
涙を拭って、2人を押し退ける。
そうして、屋上の柵に跨る。
『…皆だってそうしてたでしょ?』
『なら……別に、可笑しい事じゃない…。』
「っ、待って!待ってよ奏!!危ないから!」
「っ…奏、後悔すると思うよ……?」
2人が無理矢理リボンを破ろうとする。
でも、私はお構い無しに柵の外側に立つ。
もう、生きててもいい事なんか無いよ。
『……さようなら、また…25時に……𐤔』
私はジャンプして地面の無い空間に飛び降りた。
目を瞑る。
成る可く、早く死にたい。
痛みを感じる前に気を失いたいな……
なんて悶々と考えた。
……が、可笑しい事に気付く。
落ちてる感覚が無いのだ。
…もう、死んだのか?
なんて思い目を開ける。
……私はまだ、落ちていなかった。
誰かに手首を掴まれていた。
「……」
『っ…離して。』
「……ねぇ、それで死ぬ気…?」
絵名は、鋭い眼差しで私を見下ろす。
『……うん、だって昨日絵名が言ったから…勇気を貰ったのに…何で邪魔するの、、?』
カッターがポケットから落ちる。
そのまま地面に突き刺さった。
「……私は、飛び降りで死んでいいなんて言ってない!!」
『っ…うるさい、早く、手を…離して……』
私の声はどんどん薄れていく。
「……カッターで死ぬなら、許してあげる𐤔 」
絵名はそう言って私を引き上げ、まふゆと瑞希のリボンも解いた。
『……』
絵名は、分かってる。
何故「カッターなら死んでもいいよ」と言ったのか。
きっと…それは、痛いから、苦しいから……だから私が嫌なのを分かってる。
…嫌、絵名もそうだったからか……𐤔
「……奏」
生気のない様な目で私は絵名を見詰める
「今度から死にたい時は言いなさいよね」
『へ…何で、 』
「……私達も、一緒に逝ってあげるから𐤔」
『……!』
…全部、お見通しなんだね。
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