放課後の帰り道。
昇降口へ続く廊下はいつもより人が多くて、騒がしい。
そんな中で、私は今日も “見ないように” 歩いていた。
……目黒くんのことを。
「(話したい…けど、理由がわかんないけど、最近ちょっと距離ある気がして)」
胸がちくっとする。
友達に「お似合い」なんて冷やかされた日から、
なんだか気まずくなった。
そんなことを考えていたら、
角を曲がった先で、
ガツッ。
「わっ、ごめん、っ」
顔を上げると、ぶつかった相手は目黒くんだった。
「(最悪…!)」
慌てて横をすり抜けようとした瞬間。
“ふわっ”
制服の柔軟剤の香り。
その瞬間、後ろから声が落ちてきた。
「……やっぱり、君だ」
歩みを止めると、目黒くんがすぐ後ろにいた。
「え、なんで…?」
「すれ違うだけでわかるから。君の匂い、いつも同じだから」
ストレートな言葉に、心臓が一瞬止まりそうになる。
目黒くんは少し照れたように目を逸らしながら続ける。
「最近、避けてたでしょ」
「ち、ちが…っ」
「……じゃあ、会うたび逃げるの、どう説明すんの?」
高校生の男の子らしい、少し拗ねた声。
逃げられなくて俯いた私を、
目黒くんはゆっくり覗き込む。
「俺さ、冷やかされたぐらいで距離置いたりしないよ」
「……え?」
「むしろ、近づきたくなる」
一歩、距離が縮まる。
気づけば心臓がうるさくて、顔が熱くて。
目黒くんは私の肩にそっと触れて、
「だから逃げないでよ。すれ違うたび、こうやって捕まえるから」
そんなこと言われたら、もう逃げられないよ。
「……じゃあ、逃げない」
言うと、目黒くんは不器用に笑った。
「よかった。ちゃんと、こっち向いた」
その笑顔に、また胸が鳴った。
コメント
5件
目黒さん…😭😭😭♡♡
はあああああああ、めめイケメソーーー😭😭😭
テスト期間に浮上しちゃった🤫💕